私は55才で胃ガンになり手術、65才で前立腺ガンを発病し、現在も治療中である。
夢中でやってきた仕事を卒業し、やり残してきたことをやりたいと一念発起、油絵を始めた。
画材を求めて旅を重ねているうちに沖縄で「闘牛」に出会った。集落の人たちがボランティアで牛の世話をし、毎晩牛舎に集まり、小さなコミュニティをつくっている。この集いに参加するようになり、沖縄通いもあっという間に5年が過ぎた。
「闘牛」が縁で新潟の山古志の闘牛にも通うことになった。山古志は中越地震から8年が過ぎ、大変な苦労を重ねたが今では見事に立ち直っている。震災の翌年から誰もが予想しなかった伝統ある闘牛「牛の角突き」が復活した。村の人たちが将来に向かって前向きに進んでいく心意気を闘牛を愛する人たちが後押し、村中がひとつになって復活をはたしてきた。
私は、純粋に牛を愛する沖縄や新潟の人たちとの交流を通して、人の温かさを知り、前に進む大きな力をいただいてきた。そして、私も自分ができることで周囲の人たちに元気を与え、喜んでもらえることをやっていきたいと強く思うようになった。
この数年、病床で闘病生活を送る友人に、風景や花の絵を贈り、とても喜ばれ、絵には人に元気を与える力があることを知った。
今後は沖縄や新潟の人たちの笑顔と牛との生活を主題にした作品に取り組み、現地のみなさんに絵を楽しんでもらい、恩返しをしたいと思っている。
今回の作品は山古志の闘牛大会に毎回参加している親子三代の家族である。孫が綱を引く姿をおじいちゃんがうれしそうに見守る姿がとてもほほえましく、絵にしてみた。
ひとりでも多くの人たちに楽しんでいただける元気な絵が描けるよう、これからも日々研鑚し、努力していきたいと思っている。
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この各作品はリリー・オンコロジー・オン・キャンバスの作品・エッセイです。