がん患者さんとご家族の食と体重に関するアンケート
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がん患者さんとご家族の 食と体重に関するアンケートから

掲載日:2020年12月18日 13時00分

 何を食べたらいいのか分からない、調理をする気が起きない、食べても体重が増えない、体重減少により疲れやすくなり日中の活動が制限される……など、がんの患者さんが抱える食と体重減少の悩み、生活面の不調は切実です。  公益財団法人日本対がん協会が2019年4月に立ち上げたレシピサイト「がんサバイバーキッチン」には、がん患者さんとご家族から、数々のレシピとともに様々な食と体重の悩みが寄せられるようになりました。医療者には遠慮して言いづらかったり、「食べられないのは当たり前」と我慢してしまったり、またご家族においても、もどかしい気持ちや悩みを抱えていることが分かりました。  悩みや体験の共有を実現することは、辛さを分かち合うだけでなく、暮らしのヒントに繋がります。本調査報告書では、できる限りご回答くださった方の「生の声」を掲載しています。医療者やご家族など患者さんをサポートする方々にとって、本報告書が患者さんの悩みを理解するきっかけとなり、よりよい療養生活の一助となることを願って、本ページを立ち上げました。  アンケート結果から、生活に向き合うコツなどを、3回にわたり東京都立駒込病院 栄養科 がん病態栄養専門管理栄養士 小倉 ゆかりさんにお聞きします。

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今回は初回として小倉さんから皆さまへのご挨拶のメッセージをお届けします。

初めまして

 私は現在、東京都立駒込病院の緩和ケアチーム専任管理栄養士として、入院患者さんの食事内容の調製や喫食状況の確認、必要に応じて退院後の栄養食事指導などを日々行っています。

 化学療法や放射線治療を行っている患者さんの多くは、吐き気や嘔吐、食欲不振、味覚障害、口内炎、骨髄抑制など多くの副作用に悩んでいます。これらの副作用から生じる悩みに焦点をあて、患者さんの「少しでも食べたい」「栄養状態を良くしたい」「退院後の食事が不安」などの様々な思いをくみ取り、食事の面からサポートしています。

 

日頃の取り組みとして

 駒込病院栄養科では、患者さんが自宅で簡単にできる料理の作り方を紹介した「KOMA EI(コマエイ) 簡単調理レシピ」をホームページに掲載しています。「電子レンジでできる」「お鍋ひとつでできる」「包丁まな板いらずでできる」「一品でバランスよく食べられる」「簡単に栄養アップできる」「やわらかくて食べやすい」をコンセプトとし、簡単に購入できる食材や調理方法を紹介しています。私自身料理を作ることは好きですが、洗い物が面倒になり一つの調理器具で済ませられたらいいなと思うことがあります。そんな時に、洗い物をなるべく増やさないようにするためにも電子レンジで作れるレシピなどは重宝します。ぜひご参考になさってください。

 

調査報告書を拝見して感じたこと

 日頃、病棟訪問や栄養食事指導を行う中で患者さんから食べられないことについての悩みを聞くことがありますが、「悩みを相談したものの、参考になる情報が得られなかった」「正確な情報提供が欲しい」「栄養士はがん治療のことを知らなさすぎる」という調査結果を拝見し、多くの患者さんからがん治療の副作用に対して、管理栄養士として食に関する知識の情報発信を求められているのだと感じました。また、「食べられるものを食べてください」「何を食べても大丈夫ですよ」という何気ない声掛けが逆に患者さんやご家族を不安にさせてしまっているということも知りました。一人ひとりに合った食事のあり方を患者さんやご家族と共に見つけていきたいと思います。

小倉 ゆかり がん・感染症センター 東京都立駒込病院 栄養科 がん病態栄養専門管理栄養士
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