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ベルトコンベアにのったような患者の気持ち

掲載日:2019年8月8日 9時18分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会では2006年より「がん相談ホットライン」を始めました。たくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。シリーズ「ホットライン便り」でお届けいたします。
         

「まるでベルトコンベアに乗っているように機械的に進んでいて、気持ちがついていかない」 「ベルトコンベア式に進み、気持ちが取り残されているようだ」

 しばしば聞く、戸惑いがにじみ出た相談者の言葉です。

 がんの場合、診断から治療まである程度の流れが決まっていることもあり、次々に進んでいきます。  告知されたと同時に手術日の予約が取られたり、化学療法や放射線治療の開始日が決まったり、状況がのみ込めないうちに治療の予定が決まっていくことも多々あります。

   治療がひと段落してから、 「よくわからないうちにここまで来てしまった」 「あまり考える余裕がないまま今になってしまった」 「言われるがまま治療の流れに乗ってしまった」 「いったんベルトコンベアに乗ってしまうと立ち止まれなかった」 と、十分に理解していたのか、考えたうえで進んできたのか、本当はもっとよく考えるべきだったのではと悩んだり悔やんだりする方も少なくありません。

 医療者と話す機会が少なかったり、そもそも誰に相談したらいいかわからなかったり。担当医に聞きたいことがあっても次に会えるのは入院日や治療開始日ということも稀ではありません。

 これでは患者さんが不安や心配、戸惑いで心がいっぱいになってしまうのも当然です。

 診断から治療まで効率化されるのは大切でしょう。しかしその一方で、患者さんの気持ちが置き去りにされ、心の辛さは増すばかりです。効率化と比例して「人」の支えが必要です。

「気持ちがついていかない」。こう感じることがあれば、がん相談ホットラインや病院の相談窓口など利用していただければと思います。

 

 がん相談ホットラインは、こうした気持ちを受け止めるためにあります。これまでのことや置かれている状況を伺い、気持ちに寄り添いながらこれからのことを一緒に考えていきます。対話を重ねるなかで気持ちが整理されていくこともありますので、ありのまま気持ちを話していただければと思います。


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