気恥ずかしかったのに、いつの間にか……
どなたも興味がないのはわかっていますが、恥を忍んで、自分の写真をアップします。
2枚とも、8月17日、18日に東京・築地の国立がん研究センターで開かれた「ジャパンキャンサーフォーラム2019」(認定NPO法人キャンサーネットジャパン主催)の会場でのものです。
私はもともとノリと無縁で、音楽に合わせて自然と体を動かすこともできないタイプです。学生時代、一度だけ行ったディスコ(古っ!)でも、まったく楽しめませんでした。写真で「イェーイ」ってポーズを取るのも、自意識過剰も相まって、一苦労です。
だから今回も、がんサバイバー・クラブのサイトではおなじみの「がんフォト*がんストーリー」の木口マリさん、東大病院で外見ケアに力を注いでいる分田貴子先生、名古屋の「キャンサーフラダンス チーム プルメリア」の村山民愛(みね)さんに声をかけられてOKしたものの、最初は、気恥ずかしさでいっぱいでした。
ハワイのプルメリアレイをかけられたり、ビーチでリゾート気分にさせられたり。なんだかなあ……。
ところが、不思議なことに、1枚、2枚とシャッター音が響くうちに、いつの間にか、気持ちが突き抜けてきました。気づくと、不思議な解放感に包まれています。
そういえば、世界各地にも仮面劇
東大病院の分田先生が、ご自身たちの活動を紹介する動画を見たことがあります。サンバカーニバルのスタイルで天真爛漫に踊る場面がありました。外見ケアのおかげでサンバを踊れた患者さんがいらしたこともありますが、それを差し引いても、思い切ることで得られるカタルシスは大きいのではと感じました。
そういえば、お面をかぶるだけで、非日常の空間へ入り、別の自分になれます。子どもがお面好きなのも、無意識のうちにそれを楽しんでいるからかもしれません。がんと向き合う日々でも、こうした小さな非日常がもたらしてくれる気分は、案外大切な気がします。
日本ならまず能を思い浮かべますが、ギリシア悲劇、韓国のマダン劇、南アジアのラーマーヤナに基づく劇など、世界各地に仮面劇は根付いています。歌舞伎や京劇も、広い意味では仮面劇と言えそうです。写真1枚で得られる非日常の解放感と、根っこは近いかもしれません。
(日本対がん協会・中村智志)