新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の緊急事態宣言が5月25日に解除されました。しかし、ホットラインには、コロナの不安がある方、生活や環境の変化から閉塞感を感じている方などから、今もたくさんの相談が寄せられています。
「いつまでこの生活が続くのでしょうか。宣言が解除されても自粛生活は変わりません。散歩もジムも怖くて行けません。感染のリスクはあるのですから……。もう楽しいことなど何一つありません。この先真っ暗です」 化学療法中の方からの相談です。
誇張ではありません。張り詰めたその声からは、宣言が解除されても、心まで解放とはいかないことがうかがえます。
こうした生活が長く続いているのですから、心が疲弊し、心が弾むことや希望を見出すことが難しくなるのも無理がありません。喜びや幸せも感じにくくなるでしょう。
しかし、しばらくは、「新しい生活様式」(様式、といっても実際には感染対策ですね)を意識して生活していくことになります。慣れるまでは少し窮屈に感じるかもしれません。
では、心を少し軽やかに、ほっこりした気持ちにするにはどうしたらいいでしょう。
例えば、喜びや幸せに気づく習慣を作ってみてはどうでしょう。その日の終わりに、その日にあった良い事をいくつか考えてみるのです。
「夕飯に作った野菜炒めが、いつもよりシャキシャキしていて美味しかった」「夫が洗濯物を取り込んだ」「庭のアジサイの花がきれいに咲いた」「スーパーで魚を3割引で買えた」……。
そんなこと?と思う方がいらっしゃるかもしれません。でも、喜びや幸せはその人の心が感じることです。そして、毎日の暮らしのなかに、ひっそりと隠れているのではないでしょうか。大事なのは、それに気づけるかどうかです。
がんになって、「生きられることは当たり前ではない」と多くの患者さんが口にしました。同時に、「がんになったことで気づけたことがある」「がんになったことにも意味がある」という言葉もたくさん聞いてきました。
こう言えるようになるまでには、様々な葛藤があったはずです。それでも、気づくことができたのです。 そう、すでに、がん経験者の方は心の目を持っているのです。
さて、今日のあなたの心がほっこりしたことは何でしたか?