「こんな時に、こんな事くらいで電話してしまってすみません……」 「私の悩みなんてコロナのことに比べたら、大したことないですよね 。でも、話して……もいいですか……」 新型コロナウイルスの感染者数が連日報道されるようになってから、とても申し訳なさそうに、恐縮した様子で電話をかけてこられる相談者が増えました。
時間の経過と共に、重症化した方の映像、ご遺族の話、医療従事者の過酷さなども報道されるようになり、コロナ対策は一刻の猶予もないと、強い危機感や常に緊張状態にさらされていると感じている方は少なくないでしょう。
いまは、コロナが最優先で他のことは後回しに、という世の中の空気を感じることも多々あります。こうした状況のなかでは、不安や心配事があっても声をあげにくくなるのも無理はありません。
コロナの対策はもちろん重要です。でも、がんの治療やがん患者さんやご家族への支援だって、待ったなしです。いま、まさにこの瞬間だって、治療や副作用の心配事やつらい気持ちや不安を抱えている方が大勢いるのです。
だから、どうか不安や悩みがある時は、「こんな事」と遠慮せずに、声をあげてください。私たちや周りの誰かを頼ってください。
心にひっかかった「こんな事」をそのままにしておくと、いつのまにか、雪だるまのように大きくなってしまうかもしれません。 小さな雪だるまは、お日様に当たると早く溶けていきますが、大きな雪だるまはそうはいきません。
心にできた小さな不安のかたまりも同じです。小さなうちに手立てを講じれば、気持ちがおさまることもあるように思います。
「こんな時」だからこそ、一人で抱え込まない。とても大切なことです。