がんが見つかったきっかけは様々です。 がん検診で発見された方もいれば、何らかの自覚症状があって医療機関で診断された方もいます。別の病気の検査のついでに見つかるケースもあります。
どんなきっかけであれ、自分を責める方は多いものです。不規則な生活をしていたからか、食生活の乱れのせいか、お酒やたばこが悪かったか、仕事や人間関係のストレスでなったのか……。
ホットラインでは、検診で見つかった方には、がんになった原因は特定できないことと合わせて、「ご自分が意識を持って、検診に行ったからこそ、見つけることができたのです。受診してなければ、もっと進んでいたかもしれません。だから、ご自分を褒めてあげてください」などとお伝えします。
すると、いくらか気持ちが前を向いていく方がいます。少しでも早く見つけられたことはまだしもよかったと肯定的な考えに変化していくのです。
一方で、検診に行かなかった方は、がんになったショックに加え、「検診を受けていたら、もっと早期に見つかったかもしれない」という後悔を抱きがちです。
治療が始まっても、副作用に悩まされたとき、病状が進んだとき、経済的に大変になったときなどに、どうしても苦い思いが頭をもたげてきます。「検診で早期発見できていれば、こんなにつらい思いをしなかったかもしれない」と、やり場のない怒りや苦しみで心がつらい状態になる場合も往々にしてあります。
がんになったつらさと、自分を責めてしまうつらさ。がん検診を受けていれば、少なくとも、ループのように繰り返し自分を責めてしまうことは避けられます。自分を責めるつらさ自体、抱えなくてすむのです。
患者さんだけではありません。ご家族もまた、「どうしてもっと強く、検診に行けと言わなかったのだろう」「検診を受けていたら、もっと小さなうちに見つけられていたでしょうか……」と、自分を責めたり、思い悩んだりすることもあるのです。
検診を受けることは、早期発見で早く治療につなげるだけでなく、患者さんやご家族の心も救うことになるのです。
日本対がん協会のグループ支部に対するアンケートによれば、今年度のがん検診の受診者は例年の3割減になる見通しです。 いま、検診機関は感染防止対策を徹底しています。お住いの地域の検診機関などで、是非とも受けてください。
リンク先https://www.jcancer.jp/wp-content/uploads/TAIGAN-07_4c.pdf