「がんのココロ」が、ついに50回を迎えました。 2018年3月にスタートし、2年半。とても早かったように感じます。読者のみなさま、本当にありがとうございます!
今回は、記念としてこれまでの「がんのココロ」(略して、がんココ)の人気記事ランキング Top 10を紹介します。気になる記事があったら、ぜひもう一度訪れてみてくださいね。
1位「第14回 脱毛はコワくない〈脱毛・其の一〉」
抗がん剤の副作用で脱毛することが確定してからの、私なりに行った心の準備のお話です。いざ脱毛が始まってみたら特にショックを受けるでもなく、「今のこの時間を、どうすれば一番楽しめるだろうか」と考えていました。それと同時に、抜けゆく髪のぬくもりやありがたみも感じていました。
――この記事は、がんサバイバー・クラブのサイトで、2019年のダントツ1位でもあったそうです。脱毛は、多くの人が「精神的苦痛を感じる」とされています。私の周りにいるがん仲間の何人もがそう語るのを聞き、やはりたくさんいるのだなと思っていました。
しかし「この記事が、これだけ読まれていた」と知ったときの方が、はるかに強い実感がありました。読んでくださっているみなさんから、今、何を不安に感じたり、関心があったりするのかを教えてもらった気がします。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/8794
2位「第31回 “教科書”にない入院持ち物リスト」
入院は、「旅行+生活+サバイバル」のようなもの。そのなかで地味に困ったのが「本当のところ、何を持って行ったらそれなりに快適な入院生活が送れるのか」でした。はからずも何度も入退院を繰り返すうちに整ってきた「病院のパンフには書かれていないけれど、これはイイ!」というものを紹介した記事です。
――なかでも、私のイチオシアイテムは「使い慣れた枕」。これがあると格段に快適になります。
先日、ある肺がん患者さんに「車中泊の旅行」について聞く機会がありました。車で寝るのは大変そう……と思いきや、「いつも使っている枕を持っていくのがポイント」とのこと! やはり枕は大事なんだな〜と改めて思いました(笑)。ぜひお試しください(枕の持ち込みができる病院であれば)。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/11573
3位「第15回 脱毛を楽しむススメ〈脱毛・其の二〉」
第1位の記事に続けて書いた脱毛トーク、第2弾です。私が脱毛をすんなり受け入れられた理由は3つ。「痛くない」「必ずまた生えてくる」「何か、楽しめそうな気がする」でした。今しかないボウズ期間をどう楽しむか、試行錯誤し、実践してみたお話です。
――抗がん剤終了後、チョビヒゲならぬ、チョビ髪が生えてきたころ友達に言われたのは、「アイコニックみたい!」。 アイコニックとは、一時期ボウズにしていた女優さん。ボウズがよく似合ってとてもキュートでした。
友達の素敵な言葉にルンルン気分になりながら、続いて会ったのは姉。私の頭を見るなり出た言葉は、「モンチッチみたい」!
……家族は容赦ないです。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/8921
4位「第4回 意外と知らない、現代のがん事情――『ドラマのがん告知は時代遅れ!?』」
「告知は本人にする」「がん治療中でも意外と“病人風”ではない」など、ドラマで見るようながんのイメージとは全然違った! ……という、がん患者にとっては「あるある」なお話。
――がんでも活躍を続ける著名人やスポーツ選手が増えてきたおかげか、がんに対する世の中のイメージは、少し明るくなりつつあります。でもやはり、楽観視できない病気でもあるのは変わりません。だれもが、がんになっても辺りを見まわせるくらいの落ち着き(明るさ)を持ちつつ、適度に身構えるくらいになれるといいなと思います。要は、バランスでしょうか。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/6424
5位「第11回 『先生、聞いてください』主治医を味方にしてみよう」
多忙な医師を、いかに味方にするか。そして、医師が患者に対して思っている、本当の気持ちとは……? 最後の「医師に手渡してもらいたい、一番のもの」は、ぜひ試してもらえたらと思います。
――このところ、たびたび合併症を起こして主治医に会うことが増えています。合併症は困りますが、主治医に会えることはとてもうれしい! ……と思えるようになるなんて、最初は予想もしていませんでした。そんなつながりがあったおかげで、大変だったことよりも、治療に当たってくれた人たちの温かさの方が、心に色濃く残っています。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/8277
6位「第27回 脱毛後、ヘア談義 〜6年間、伸ばしに伸ばしてみた〜」
脱毛状態から生えてきた髪は、生まれたてでまっさらです。切るのがもったいなくて伸ばしてみること6年間、長さは90cm。それをバッサリ切りました。でも、ヘア・ドネーション(髪の寄付)はしていません。その理由も書いてみました。
――10位以内にさらに一つ、脱毛のお話が入りました。やはりそれだけ多くの人が気になる話題なのだと思います。
この記事から1年経ち、抗がん剤後に少し減ったかに見えた毛量が、なぜかまた増えているようです。7年かけてようやく復活した毛根があるのでしょうか。これからも観察を続けます。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/11000
7位「第22回 私はもう、子供を産めないけれど」
私はもう、子供を産めません。その人生に納得しているけれど、子供や妊婦さんを見ると、ときどきモヤモヤが起こります。「私って、心が狭いの?」――そんな気持ちをちょっと深く考えてみました。
――モヤモヤは、今でもときどき起こります。時間が経てば薄れるかと思いきや、以前より、もっと濃いこともあります。もう「心が狭いの?」とは思いませんが、私もまだまだ、自分と向き合う必要がありそうです。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/10166
8位「第17回 抗がん剤・副作用プランニング」
抗がん剤は、何度かやってみると副作用のサイクルが見えてきます。それをうまく活用すれば、動ける期間はいつも以上に効率よく動けるし、リラックスすることも可能!
――抗がん剤治療中にリラックスって、ちょっといい響きです。抗がん剤に限らず、忙しいときや焦りがあるときも、フッと力を抜いてみようと思いました。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/9319
9位「第1回 木口マリの『がんのココロ』(1)」
このときのテーマは「あなたは、ひとりじゃない」。
病気でもっとも恐ろしいのは「孤独感」だと思います。でもそれは仲間がいることを気づいていないだけ。そんなお話です。
――まだ個別のタイトルを入れていなかった第1回目の記事が10位以内に入ったのは、とてもうれしいです! 「がんのココロ」がスタートしたときの気持ちを思い出しました。
病気以外でも、困難に直面した時に孤独を感じる人は多いと思います。私も海外でトラブルに遭ったとき、「誰にも助けてもらえない。キー!」と頭を抱えたことがあります。しかしそこで気づいたのは「将来、同じトラブルに遭う人がいたら、私が助けてあげられる」ということ。一気に力が湧きました。それも、一つの「ひとりじゃない」だったのかなと思います。
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/5783
10位「第37回 術後合併症! ザ・腸閉塞事件〈其の一〉」
開腹手術後、一生ついてまわる「腸閉塞」のリスク。それにまんまとなったうえに、目覚めてビックリ、人工肛門まで登場! 3回シリーズの第一話です。
がんになって以降で、記憶にある精神的大打撃は2回。「子宮だけでなく卵巣も摘出する」と言われたときと、気づいたら人工肛門になっていたときです。
しかしそれぞれの衝撃はまるで違っていました。「摘出」のときは、ずっしり重い鉛に押しつぶされているようで、「人工肛門」のときは、巨大な落石に直撃されたような感覚でした。その後の精神的・身体的な反応の仕方や、対処法もまったく違ったように思います。……続きは、今後のがんココで!
・記事はこちら:
https://www.gsclub.jp/tips/12524
ちなみに、11位〜15位は……
11位「第6回 そこはかとなく『食べ物が怖い』」
https://www.gsclub.jp/tips/6886
12位「第18回 私、仕事を辞めるべき? 実家に帰るべき?」
https://www.gsclub.jp/tips/9513
13位「第28回 言葉のチカラ 〜何でもない一言が支えとなる〜」
https://www.gsclub.jp/tips/11115
14位「第13回 レアだけどアツい! 『作業療法士』」
https://www.gsclub.jp/tips/8562
15位「第5回 意外と知らない、現代のがん事情・2『ちょっくら緩和ケア』
https://www.gsclub.jp/tips/6647
このほかにも、「お金がない!」「抗がん剤治療中の“キレイ術”」「がんの仲間の探し方」などなど、本当に多彩なテーマを書いてきました。
逆に考えると、がんになるということは、それだけたくさんの出来事に遭遇し、たくさんの想いを抱くものなのだと思いました。人生のなかに密度があるとしたら、その時間はとてつもなく凝縮されたものです。それは、がんに出会ったすべての人にとっても同じだと思います。
がん経験は大変ですが、凝縮された分、人として得るものも大きいと感じています。
50回の振り返りは、読者のみなさんとのつながりを感じるもので、対話のようでもありました。これからも、記事をとおして語り合えたらうれしいです。