がんを狙い撃ちする精度の高い治療が可能に
放射線治療中の乳がんの患者Mさん(81歳、女性)からこんな質問がきました。 「こんなコロナの中で、放射線治療のためにB病院に毎日電車で通っていますが、せめて週1回くらいにできないのでしょうか?」 確かに、コロナ流行の中で、月曜日から金曜日まで毎日、通いたくない気持ちはよく理解できます。

ロボット技術を活用した治療法も
以下、その3つの治療法を示します。

TomoTherapy(トモセラピー)【都立駒込病院HPより】
正常細胞へのダメージが少なくてすむ粒子線治療
他に、放射線治療には、粒子線治療というのがあります。粒子線はX線と違って、からだの中をある程度進んだあとに、急激に高い量の放射線が発揮され、そこでぴったり止まるのです。
がんがある場所の深さで最もエネルギーを出すようにすると、がんに集中して放射線照射ができ、放射線の通り道である前後の正常細胞はダメージが少なくてすむのです。
粒子線として用いられているものに、中性子線、陽子線、炭素イオン線があります。ヘリウムイオンより重い粒子のビームをまとめて重粒子線と呼びますが、稼働している重粒子線治療施設で用いているのは炭素イオン線のみです。
粒子線治療施設の装置には莫大な費用がかかり、また治療費も高額ですが、前立腺・頭頸部・骨軟部等では保険適用が認められています。
もちろん、放射線治療装置の発達は、その効果と有害事象を減らすことが大事で、治療回数ばかりの問題ではありません。
話は元に戻りますが、がんの種類によっては、寡分割照射(1回線量2Gy以上に増やす方法)を採用している病院もあるようです。結果として、治療回数を減らす方ことができるわけです。
お悩みの方は通院回数について、放射線科の担当医師に相談してみたらいかがでしょうか。

シリーズ「灯をかかげながら」 ~都立駒込病院名誉院長・公益財団法人日本対がん協会評議員 佐々木常雄~
がん医療に携わって50年、佐々木常雄・都立駒込病院名誉院長・公益財団法人日本対がん協会評議員の長年の臨床経験をもとにしたエッセイを随時掲載していきます。なお、個人のエピソードは、プライバシーを守るため一部改変しています。