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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第10回 美しい姿勢が誤嚥防止に!

掲載日:2022年9月5日 10時46分

 こんにちは。クリコです

 皆さんは普段食事をするときに姿勢を気にしていますか。  私は外食の時など人の目があるところでは、なるべくきれいな姿勢を保つように意識しているのですが、気を緩めると背中が丸くなったり、背もたれに寄りかかったりしてしまいます。  前回は誤嚥を防ぐための嚥下体操をご紹介しましたが、実は食べる姿勢も誤嚥防止には大事なんです。


むせるのは、食べる姿勢に原因があるのかも

 上を向いて飲み物を飲んだときにむせた経験はどなたもあると思いますが、これは気管に入りやすい角度をとったことが原因です。加齢による筋力低下や脳梗塞の後遺症などが原因で、食事中の姿勢を適正に保つことが難しくなります。  半身に麻痺がある場合、頭も手も下がってしまいます。頭と手を片側にだらんと下げて、唾を飲み込んでみてください。飲み込みにくいですよね。体幹が崩れると嚥下を助ける首や肩が緊張して、嚥下をスムースに行えなくなります。

 誤嚥を防ぐには、食べ物が気管に入らないよう適正な姿勢で食事をとることが大切です。  では、適正な姿勢とはどんな状態でしょうか。詳しくお話ししていきましょう。

●椅子に座って食べる場合の姿勢をチェック

  1. 椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばして座る 背中が丸くなっていると、口周りの筋肉がスムーズに動きません。試しに、背筋を伸ばした状態と背中を丸めた状態で「あ、い、う、え、お」と言ってみてください。動きの違いがわかると思います。背筋を伸ばすことで体幹が安定し、口周りの筋肉が滑らかに動きよく噛めるようになります。麻痺がある場合は、クッションなどを脇に挟んで姿勢を調整します
  2. 足裏を床にしっかりつける 足裏全体が床に接地することで、姿勢が安定します。足が床に届かないときは、台座や雑誌などを置いて調整します。
  3. テーブルの高さはへそより少し上 背もたれに寄りかからず、少し前かがみになって顎を軽く引きます。背もたれに寄りかかると顔が正面や上を向くため顎が上がってしまいます。顎が上がるとのどから気道が一直線になり食べ物が気管に入りやすくなります。
  4. 足裏を床にしっかりつける 体とテーブルの間隔はこぶしひとつ分空けます。テーブルが高すぎると手を動かしにくいだけでなく、顎を上げた姿勢になるため、誤嚥のリスクが高まります。腕を乗せて肘が90度に曲がるのが理想的です。

●ベッド上で食べる場合の姿勢をチェック

  1. 基本的な姿勢のポイントは座って食べるときと同じです。 リクライニング機能を使って上半身を起こし、枕やクッションを使って頭と上半身を安定させ、顎を引きます。 体を起こすことで、食べ物を喉へスムーズに送り込みやすくなります。
  2. 足裏にタオルやクッションを置く ベッドの上でも足裏全体が接地している感覚を得ることで、体全体が安定します。
  3. 食後すぐに横にならない 食べ物が逆流するのを防ぐために、食後1〜2時間は上体を起こした姿勢を保ちます。

 適正な姿勢を保ちながら食事に集中することが、誤嚥防止にはとても大切です。  誤嚥の知識がなかった当時、夫の食事中、楽しい雰囲気を作りたくてあれこれ話しかける私に「食べることに集中しないとうまく食べられないから、静かにしてて欲しい」と、ぴしゃり!今思い出しても切なくなります。


食後の口腔ケアも忘れずに

 夫は下顎が麻痺していたので、下の歯茎の間に食べかすが残っていても気づかないままでした。食後は鏡を見ながら念入りな洗浄を心がけました。  食べ物が口の中に残ったままになっていると、知らないうちに気管に入り誤嚥や窒息の原因になります。食べ物の残りかすが歯の表面について細菌が繁殖したものをプラークと言います。プラーク1mg中の細菌の数は、なんと10億個もあるそうです。口の中の細菌が多いと誤嚥から誤嚥性肺炎になるリスクが高まります。  細菌のえさになる食べかすを残さず清潔な口内環境を整えるために、食後の歯磨きと歯間の清掃は必須というわけです。

 健康で長生きするには、よい生活習慣を普段の生活の中で意識して日々積み重ねることが大切ですね。食事中の姿勢を見直すことはすぐにでもできることです。ご自身の姿勢をチェックしてみてはいかがでしょうか?

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 今回は「うなぎと豆腐のかぶら蒸し」の作り方をご紹介します。うなぎもちょっとした調理の工夫で噛む力が弱い方でもおいしく召し上がれます。  うなぎに多く含まれるビタミンB群は食事でとった糖質や脂肪をエネルギーに変える栄養素です。夏バテが起こりやすい夏こそ、うなぎで乗り切りましょう。


うなぎと豆腐のかぶら蒸し


【材料 1人分】

材料名 分量
1 うなぎの蒲焼(皮を除く) 16g
2 少々
3 絹豆腐(厚み4cm) 40g
4 かぶ(皮を除く) 20g
5 卵白 3g
6 少々
7 花麩(生麩) 1枚
8 【あん】
出汁 50cc
薄口醤油 小さじ1/2
みりん 小さじ1/2
醤油 小さじ1/2
本葛粉 3g
9 おろしわさび 適宜

【作り方】

  1. あんを作る。あんの材料を鍋に入れ葛粉が完全に溶けるまでよく混ぜ、弱火にかける。とろみがつくまでへらで混ぜる。
  2. かぶは皮をむきすりおろし、ざるで水気を切る。
  3. 生麩は沸いた湯で軽く茹でて、小皿に取りおく。
  4. 卵白を七分だてに泡立て、2と塩少々を混ぜる。
  5. うなぎの皮を取り除きさっと水洗いする。身をやわらかくするために酒をかけて5分おく。
  6. 器に豆腐をおき5、4の順でのせ蓋をする。沸いた蒸し器で約5分蒸す。
  7. 6に1のあんをかけ、生麩とわさびを添える。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ) 自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。 食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。 【Webサイト】 「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」 https://curiko-kaigo-gohan.com/ 【主な著書】 「希望のごはん」(日経 BP社) 「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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