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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第13回 デンタルIQが高いほど健康寿命はのびる

掲載日:2022年12月8日 12時45分

 こんにちは。クリコです。

 4年前、日本大学歯学部 摂食機能療法学講座の准教授 阿部仁子先生に口と全身の健康についてお話を伺った際、デンタルIQについて教えていただきました。

 デンタルIQは「歯を守る意識の度合い」を言います。

 実は口の中は、いつも細菌を培養しているようなもので、ゴミ集積場が顔にあるようなものなんです。口や歯を守る意識、つまりデンタルIQを高めることが健康寿命につながるんです」という先生のお話に、口腔ケアの重要性を強く意識しました。


●歯周病をあなどるなかれ!

 前回、オーラルフレイル(口の働きの虚弱)がフレイル(全身の健康の衰え)に至る前の危険信号というお話をしました。今回は、口の働きを守るためのオーラルフレイルチェック、口のケアについてご紹介します。

 口の中を清潔に保とうとする意識が低下すると、虫歯や歯周病は増えます。歯周病は細菌の病気で、一度かかると進行を抑えることはできても完全に治すことはできないと言われています。その細菌は血管を通じて全身にまわり、脳梗塞、腎臓病、糖尿病、心臓病、関節リウマチ、骨粗しょう症、誤嚥性肺炎、認知症など様々な病気、しかも命に関わる病気に影響を及ぼします。

 昔と違って、虫歯治療が終わったらそれでおしまいではなく、虫歯や歯周病にならない状態を維持する「予防定期管理」に重点を置いた診療スタイルが当たり前になってきました。

 私のかかりつけの歯科医院でも、口腔疾病と全身疾病との関連についてスライドを使って詳しく説明したうえで、定期的なケアを勧めています。


●オーラルフレイルを自己チェック

 ここで、オーラルフレイルをチェックする問診票をご紹介します。下の票の質問に対して「はい・いいえ」のいずれかを回答し、該当する数字を加算します。合計点が「0=2点」の場合はオーラルフレイルの危険性は低いと判断され、3点は危険性あり、4点以上は危険性が高い状態です。

 阿部先生によると、3点以上の場合、放置すると大きなトラブルに発展する可能性があるため、歯科医院で検査の必要があるということでした。

 小さなトラブルのうちに専門家の助言を受け、お手入れや口の運動などをすることで口の機能が回復する可能性もあるそうです。また、噛みにくい、食べにくいと感じたときも、歯科医に相談してみましょう。

 歯科医院では、口の中に入れたものを舌で押しつぶす舌圧検査や、嚥下機能、咀嚼機能の検査などで口の健康を確認し、その結果に基づいて、下図のように改善に必要な対応策を提案してくれます。

 検査に対応していない医院もあるので、事前に問い合わせてから受診することをお勧めします。

 口は健康の入り口。軽度のトラブルのうちに口を守ることが全身の健康を守ることにつながります。


●お家でできる「口のケアと体操」

 自分でできる口のケアと言えば、基本の歯磨き、うがい、入れ歯の清掃です。口の中を清潔にするだけで虫歯や歯周病、口臭予防にもなり、口を動かすことが刺激となり、唾液の分泌を促します。

 唾液には、口の中を清潔にする自浄作用、細菌の増殖を抑制する抗菌作用、酸性に傾いた口の中の中和による虫歯予防、スムーズな嚥下の促進など重要な役割があります。

 高齢になると薬剤の影響や噛む力の低下などが原因で唾液の量が減ってしまいますが、唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌を促すことができます。

 唾液腺マッサージのやり方は、下図を参考になさってください。軽くマッサージするだけで、唾液がじわっと出てきて、効果を実感いただけると思います。

 食事前に行うと、唾液によって口の中が潤い咀嚼や嚥下の助けにもなります。第9回でご紹介した嚥下体操や早口言葉も、口の機能回復に役立ちますので、あわせておためしください。

 顔にゴミ集積場があるなんて、想像するだに恐ろしい話です。これからはデンタルIQ高めでいきましょう!

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 今回のレシピは、ブロッコリーとサーモンのムースです。緑とピンクのコントラストが美しい、クリスマスのオードブルにもぴったりの一品です。ご家族皆様であたたかいクリスマスをお過ごしください。

ブロッコリーのピュレ

【材料 作りやすい分量】

材料名 分量
1 ブロッコリー 100g
2 大さじ1
3 ひとつまみ1

【作り方】

  1. ブロッコリーを小房に分け、耐熱容器に入れる。水と塩を加え、ラップをかけ600Wの電子レンジで約5分加熱する。
  2. 粗熱が冷めたら、フードプロセッサーでなめらかにすりつぶす。
    *まとめて作って小分け冷凍容器に詰めて冷凍保存すると便利。

ブロッコリーとサーモンのムース

【材料 2人分】

材料名 分量
1 【ブロッコリーのムース】
ブロッコリーのピュレ 80g
鶏がらスープの素 小匙1/4弱
40cc
介護食用ゲル化剤「ミキサーゲル」
*介護食用ゲル化剤の特徴は第8回を参照
小匙1弱
生クリーム 20g
2 【サーモンのソース】
スモークサーモン 20g
クリームチーズ 5g
生クリーム 20cc
牛乳 25cc
3 ウニ 適宜

【作り方】

  1. ブロッコリーのムースを作る。ブロッコリーのピュレ、湯で溶いた鶏ガラスープ、ミキサーゲルをミキサーで約15秒粉砕し1分以上おく。なめらかになるまで、さらに粉砕する。
  2. 生クリームを七分立てに泡だて、1に加え切るように混ぜる。
  3. 2を透明のグラスに2等分して盛りつける。
  4. サーモンのソースを作る。
    クリームチーズは常温に戻す。ソースの材料すべてをミキサーにかけ、なめらかなソースに仕上げる。
  5. 3に4を流し入れ、ウニを添える。
    *「ミキサーゲル」は常温でムース状に固まるが、冷蔵庫で冷やすとより美味しい。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ)

自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。
食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。

【Webサイト】
「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」
https://curiko-kaigo-gohan.com/
【主な著書】
「希望のごはん」(日経 BP社)
「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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