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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第14回 頑張らない介護食作りのお助けアイテム

掲載日:2023年1月10日 13時14分

 こんにちは。クリコです。

 柔らかくするために長く煮る、噛みやすいように細かく刻む、ミキサーにかける、すりつぶす、とろみをつける…。
 介護食作りは一つ一つの調理に手間がかかり、1日3食を毎日作るとなると、時間がいくらあってもたりません。
 私が夫の介護食作りを始めた当初、一日中キッチンにいてストレス満載だったことは以前にお話しました。
 この状況から抜け出すきっかけになったのが、「作り置きフリージング」です。

 クリコ流介護食の特徴は、野菜ピュレ、魚介すり身、シート肉(肉ペースト)といった料理のベースとなる素材を手作りすることにあります。一から作り始めるのではなく、半加工済みのベース素材を冷凍しておけば、調理時間は大幅に短縮できます。

 今回は、おすすめの作り置きフリージングアイテムをご紹介します。これが冷凍庫にあれば鬼に金棒です!

●時短調理の強い味方!冷凍野菜ピュレを常備

 にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの野菜を茹でて、ミキサーなどで滑らかなピュレ状にして小分冷凍します。

 加工済みのピュレは他の食材と組み合わせることで、主食からデザートまで栄養満点で彩豊かな料理がぱぱっと作れ、レパートリーは無限大に広がります。

 例えば、温めた鶏がらスープに冷凍しておいたかぼちゃのピュレをポンと入れるだけで、かぼちゃのポタージュがあっという間に完成します。おかゆとスープに混ぜてバターと粉チーズを混ぜればリゾットに、卵と牛乳と生クリームを混ぜて蒸せば洋風茶碗蒸しに、という具合です。冷凍のじゃがいものピュレがあればポタージュはもちろんのこと、グラタン、コロッケ、サラダを作るのも楽々です。

小分け冷凍容器で冷凍した野菜ピュレ

●魚介・肉料理の形を再現するベース素材も作り置き冷凍

 すでにご紹介した豚シート肉と肉団子、海老やほたてのすり身などのベース素材をまとめてたくさん作って冷凍保存しておけば、メインディッシュの時短調理に大活躍します。

 完成した料理をミキサーにかけて形をなくすことなく、とんかつ、酢豚、海老フライ、ほたてソテーなど、見た目にも食欲のわく柔らかい料理をいつでも気軽に作ることができます。

●主食のご飯&麺類は一食分ずつ冷凍して常備

 炭水化物のご飯や麺類はエネルギー源であり、元気の源です。
 噛む・飲み込む力に合わせて、軟飯や全がゆ、五分がゆなどをまとめて作り1食分ずつ冷凍します。

 第4回のレシピ「手毬ずし」でご紹介した、全がゆをくず粉でふんわりまとめたすし飯も冷凍することができます。

●困った時に役立つ完成品冷凍

 料理を作る人も、体調が悪い時や時間に追われる時があります。そんな時に、温め直すだけですぐ食卓に出せるのが「完成品冷凍」です。

 これを出せば必ず喜んで完食するという、てっぱんの料理の完成品をそのまま冷凍しておきます。
 我が家では夫の大好物のマカロニグラタン、クリームシチュー、ビーフストロガノフがそれです。私が病気で入院した時も、この完成品冷凍があって本当に助かりました。

●うま味&コク足しピュレ、ソース類も小分け冷凍

 味付けの強い味方になるのが、玉ねぎをしっかり炒めた飴色玉ねぎ、ミックスキノコのピュレなどのうま味とコクがぎゅっと詰まったピュレです。料理にポンポン足すだけで、おいしさがワンランクアップします。  ソース類も役立つアイテムです。ホワイトソース、ミートソース、トマトソース、白和え衣、ごまだれ、麻婆だれなどを小分け冷凍しておけば、和洋中と味のバリエーションが広がります。
 ゆずやすだちは丸ごと冷凍して、凍ったままおろし金で皮をすりおろして散らすと料理のアクセントになりますし、季節を感じることができます。

 いかがでしたでしょうか。
 私は介護食を作る前までは、冷凍することがあまり好きではありませんでした。でも、夫の介護食作りを始めてみると調理にかかる時間があまりに膨大でそんなことは言っていられませんでした。よく使う食材を冷凍保存することで調理時間を劇的に短縮することができて救われました。
 時間のゆとりが気持ちのゆとりを生み、介護食作りが楽しくなると、新しい料理のレパートリーが次々と浮かんできました。
 皆さんがよく使う食材を使いやすい分量で冷凍保存し、今までよりもっと介護食作りを楽しんでいただけましたら幸いです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 今回ご紹介するレシピは、海老マカロニグラタンす。海老すり身で作る海老団子がふわふわで、海老風味いっぱいの熱々グラタン。焼いた後に冷まして冷凍保存しておくと、温めなおすだけですぐに食べられますよ。
 ぜひ、お試しください。

海老団子のマカロニグラタン

【材料 作りやすい分量】

材料名 分量
1 海老すり身 約100g*作り方は第3回「ふわふわ海老フライ」参照
2 マカロニ(乾) 20g
3 ホワイトソース 150g *ゆるめ
4 パルメザンチーズ 6g
5 パン粉 3g
6 無塩バター 5g
7 揚げ油 適量

【作り方】

  1. 海老団子を作る。鍋に揚げ油を熱する。海老すり身を小さじですくって素揚げにする。
  2. マカロニは舌でつぶせる柔らかさになるまで茹で(表示9分のところ約20分)、長さ1.5cmに切る。
  3. ホワイトソースで1、2を和える。*ホワイトソースは、ゆるめに仕上げる。
  4. グラタン皿にバター(分量外)を塗り3を入れる。削ったパルメザンチーズ、パン粉の順にふり、刻んだ無塩バターを散らしてオーブントースターで表面に焼き色が着くまで加熱する。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ)

自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。
食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。

【Webサイト】
「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」
https://curiko-kaigo-gohan.com/
【主な著書】
「希望のごはん」(日経 BP社)
「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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