食べ物を噛みやすくするには、細かく切る、隠し包丁を入れる、皮を取り除くなど食材を下処理する方法があります。そのほか、ご飯より軟飯やお粥。肉の塊より肉団子、魚の切り身よりつみれやハンペンなど、柔らかい食品を選ぶというのも大切です。
クリコ流の介護ごはんの基本は、柔らかい肉・魚介料理を作るために、素材を手作りするところから始めますが、今回は柔らかい食材を細かく刻んで食べやすくした料理をご紹介します。
細かく刻むといえば、南房総の漁師料理「なめろう」は、アジやサンマなどの魚の身に味噌、ねぎ、しょうがのみじん切りなどを混ぜ、粘りが出るまで包丁で叩くというシンプルな料理です。あまりの美味しさに「皿をなめるほど旨い」ことから「なめろう」となったのが、名前の由来のようです。
今回のレシピで使う食材のひとつは、ほたて貝です。天然のほたて貝の旬は2度あります。春に産卵を控えたほたて貝は、卵が成長して大きく育つ2月〜3月頃に旬を迎えます。2度目は5月〜8月で、貝柱が大きく育っておいしくなる季節です。 飾り包丁を入れてソテーに、パン粉をつけてフライに、クリーミーなグラタンに、旨味と甘みを味わう刺身にと、噛む力にあわせて様々な調理法で楽しむことができるほたて貝は栄養価も高い万能食材です。 生のほたて貝の柔らかさを生かして、洋風のなめろう「タルタル」にアレンジしてみました。作り方はとにかく簡単。細かく切って混ぜるだけの超スピード調理です。
魚の身は包丁で細かく叩くと適度な粘りが出ます。そこに油を使ったドレッシングなどを絡めると口の中でばらけることなくスムーズに飲み込むことができます。 ほたて貝と相性がよく柔らかい赤身のマグロ、熟したアボカドにオーロラソースを合わせたタルタルは、暑い季節にぴったりの一品です。
セルクル型を使って3層に重ねることで色のコントラストが美しく、味だけでなく見た目も楽しむことができます。セルクル型は盛り付けなどに使う金属製の調理器具で、底のない円形の枠ですが、空のペットボトルの輪切りや、牛乳パックを短冊に切り丸くつなげたものでも代用できます。
また、透明のグラスやレンゲに盛り付けることで見た目も華やかになり、口元に料理を運ぶことができるので食べやすいという利点もあります。
レシピの特製オーロラソースは市販品を使うことで調理時間をさらに短縮できますし、和洋中のドレッシングでアレンジをお楽しみいだけます。 チコリや薄く切ったバゲットにのせてご家族みなさまもご一緒にお楽しみください。
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##料理名 魚とアボカドのタルタル仕立て
【材料 1~2人分】
材料名 | 分量 | 1 | ほたて貝 | 30g | 2 | マグロの赤身 | 30g | 3 | アボカド(熟したもの) | 30g | 4 | イクラ | 適宜(無くても可) | 5 | レモン汁 | 少々 | 6 | フレッシュハーブ(イタリアンパセリ、ディル、セルフィーユなど好みで) | 適量 |
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7 | 特製オーロラソース(作りやすい分量) | |
マヨネーズ | 大さじ4 | |
ケチャップ | 大さじ2弱 | |
生クリーム | 小さじ2 | |
白コショウ | 少々 | |
レモン汁 | 小さじ1 |
【作り方】
ほたて貝、マグロを5mm角に切り、食べる直前まで冷蔵庫で冷やしておく。
*マグロの代わりにサーモンもよく合うアボカドは5mm角に切り、レモン汁をかけ色止めする。 オーロラソースの材料をよく混ぜ、ハーブのみじん切りを少量混ぜる。 1、2のそれぞれを3のオーロラソース大さじ2で和える。
*ソースと和えてから時間が経つと魚の水分と臭みが出るので食べる直前に和える
皿にセルクル型(直径6cm、高さ4cmを使用)を置き、マグロ、アボカド、ほたて貝の順に詰める。 セルクル型を外し、イクラを散らす。
*イクラの代わりに湯むきしたトマトのみじん切りでもよい