今夏の気温は全国的に平年より高くなるそうですが、7月12日の八王子の最高気温は39度を超えました。外出も憚られる危険なレベルです。
それにしても、日本の夏はいつからこんなに暑くなったのでしょうか。 私の子供の頃、昭和30年代の夏は、団扇と扇風機でなんとかしのげる暑さでした。今では考えられないことですが、夜に窓を開けたまま寝る家も珍しくなく、涼しい風がすうっと通り抜け、朝までぐっすり眠れたものです。
気象庁の観測データによると1875年8月の東京都の平均気温が24.9度、2022年は27.5度とあります。約150年間でなんと2.6度も上昇しています。
(https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_s3.php?prec_no=44&block_no=47662)ところで、「夏」と言えば何を連想しますか? 私は、かき氷、カルピス、スイカ、扇風機、団扇、日傘、風鈴、蚊取り線香、線香花火、お化け屋敷、プール…子供の頃の夏の風景が次々浮かんできました。 江戸時代の夏の平均気温は 現代より2〜3度低かったと言われていますが、どんな風に暑さをしのいでいたのでしょうか。庶民の夏の暮らしを浮世絵から想像してみましょう。
この絵は歌川国芳作の団扇絵「名酒揃」の一枚です。おなじみの形に切ったスイカを持つ女性の髪がほつれています。手ぬぐいで汗を拭き拭き、「あ〜暑いったらないね〜」なんて言いながら、せっせとタネを取っているのでしょうか。指が突き抜けてしまているところにおかしみを感じます。
こちらも国芳作の団扇絵「名手揃 志ら玉」で、志ら玉はお酒の名前です。青い染付の鉢に張った冷や水に紅白の白玉が浮かんでいます。砂糖を加えた冷や水の冷たさとつるっとした食感の白玉は夏に大人気のおやつで、きな粉をかけて食べたりもしたそうです。嬉しそうにすくう女性の浴衣の藍色がなんとも涼しげです。
国芳作「縞揃女弁慶」は風鈴、団扇、弁慶格子(縦横同じ太さで幅広の格子柄)の着物の取り合わせが夏らしい1枚です。風鈴そのものが体を冷やしてくれるわけではありませんが、風鈴が鳴っている=風がそよいでいる=涼しいという体験から、風鈴が鳴る=涼しいの条件反射で実際に皮膚温が下がるのだそうです。氷を見ると涼しく感じるのも、氷=冷たいという誰もがもつ体験からの条件反射なんですね。
このほかにも、浮世絵には打ち水、花火、屋形船、蛍狩り、うなぎ、麦湯(麦茶)など、見て涼しく食べて爽やかな涼を呼ぶ工夫がたくさん見られます。 打ち水は最近ではあまり見かけなくなった光景ですが、水が蒸発して地表の熱を発散することで温度が下がり涼しく感じます。江戸の濡れた土の上を涼しい風が吹き抜けたことでしょうね。
ということで、今回は目で見ても食べても爽やかなデザート「フルーツポンチ」のレシピをご紹介します。とろみをつけた炭酸水に色とりどりのゼリーを浮かべたシュワシュワの爽やかなデザートです。冷蔵庫で冷やすとより一層美味しく召し上がれます。
※上記、浮世絵3枚は、東京国立博物館 研究情報アーカイブスより利用させていただいています。
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##葛粉でゼリーのフルーツポンチ
【材料 3人分】
材料名 | 分量 | |
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1 | 【葛ゼリー4種】 | a グレープジュース(果汁100%)…30cc 砂糖…大さじ1/2 レモン汁…1g 本葛粉…4g | b マンゴージュース(果汁100%)…30cc 砂糖…大さじ1/2 本葛粉…4g | c カルピス原液…20cc 水…20cc 本葛粉…5g | d メロンシロップ原液…20cc 水…20cc 本葛粉…5g |
2 | 【とろみサイダー】 | |
サイダー | 300cc | |
オレンジリキュール(無くても可) | 5cc | |
レモン汁 | 3cc | |
砂糖 | 9g | |
介護食用ゲル化剤「ミキサーゲル」 | 小さじ3*介護食用ゲル化剤の特徴は第8回を参照 | |
3 | 【トッピング】 | |
ミント | 適宜 |
【作り方】
ゼリーを作る。a、b、c、dの材料をそれぞれよく混ぜて弱火にかける。透明なつやが出て粘りが出るまでヘラで約2分混ぜる。ティースプーンですくい、冷水に落として冷やし固める。 とろみサイダーを作る。ミキサーに材料を全部入れ10秒撹拌する。蓋を取り2分以上置き、再び蓋をして攪拌する。とろみがついたら冷蔵庫で冷やす。*泡の噴出を防ぐために、蓋を開けて内圧を下げる。 2に1のゼリーを混ぜ、器に盛りミントの葉を添える。