マンガ肉という言葉をご存知でしょうか。漫画やアニメ、ゲームなどに登場する食肉やそれらを調理したもののことをいいます。このマンガ肉の元祖となったのが、漫画家・園山俊二原作の「ギャートルズ」なのだそうです。のちにテレビアニメ化されて昭和40年代に人気を博したのが「はじめ人間ギャートルズ」。架空の原始時代に生きる家族のサバイバル生活をユーモアたっぷりに描いたギャグ漫画で、少年ゴンと家族たちが食べていた骨つきの巨大な肉がたまらなく美味しそうでした。その骨つき肉を再現した「ギャートルズ肉」を製造・販売する食品メーカーもあったほどで、人気ぶりが窺えますよね。
●香り、コク、キメよしの希少種 ”中ヨークシャー”
そんな昭和30年代から40年代、私がまだ子供だった頃、我が家のお勝手から肉の焼けるいい匂いが漂ってくると「今夜のおかずはポークソテーだっ!」と俄然テンションが上がったものです。 厚切りの豚ロース肉に塩・胡椒して、鉄のフライパンで焼くだけのシンプルな料理がとてつもなく美味しかたのです。柔らかくてコクのある旨味、焼いた時の香りが抜群でした。もう何十年もあの豚肉を食べていません。
日本では明治時代から昭和30年代まで、豚肉の品種で主流だったのが、イギリスのヨークシャー州原産の中ヨークシャー種でした。肉質がキメ細かく、脂肪の質もよく美味とされていましたが、飼育期間が長く生産効率が悪いため、短期間で出荷できる三元交配豚に取って代わり、次第に姿を消していきました。 平成に入り日本で新たに血統登録されたヨークシャー種はごくわずか。ネット通販でもなかなか手に入らない幻の豚なのです。生きているうちに、もう一度あの豚肉を食べてみたいものです。
●豚肉をもりもり食べて酷暑を乗り切ろう
ということで、今回ご紹介するのは豚肉料理です。 例年にない酷暑で人も動物もぐったり。農作物にも高温障害が広がり、”ピーマンが日焼け”のニュースには驚きました。 夜中に何度も起きてしまう、集中力も思考能力も下がりっぱなしという方もたくさんいらしゃいますよね。お財布は痛いけど冷房の設定温度をググッと下げて、栄養もしっかりとって夏を乗り切りましょう。
夏の食欲不振や疲労感は自律神経が関係していると第19回でお話ししましたが、ビタミンB1の不足が原因のこともあります。ビタミンB1は炭水化物に含まれる糖質をエネルギーに変える働きをサポートします。不足すると糖質がうまくエネルギーとして利用されず、食欲不振や倦怠感、夏バテなどの症状を引き起こすというわけです。 ビタミンB1を多く含む食材といえば、夏バテ予防の代名詞うなぎの蒲焼ですよね。でも、それを上回るのが豚肉でダントツなんです。
ご紹介するのは、加熱しても硬くならない肉素材「豚シート肉」の肉だねを使った豚の生姜焼きの作り方です。生姜は発汗を促して余分な熱を取り、食欲増進と疲労回復にも効果があります。夏の最強メニューですね! 肉だねを薄く成形するのが柔らかくおいしく作るコツですよ。
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やわらか豚の生姜焼き
【材料 1人分】
材料名 | 分量 | 1 | 豚シート肉の肉だね(*作り方は第2回「シート肉の肉だね」参照) | 120g |
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2 | 生姜焼きのタレ(作りやすい分量) | |
しょうゆ | 大さじ1 | |
みりん | 大さじ1 | |
酒 | 大さじ2 | |
おろし生姜 | 10g | |
3 | ごま油 | 適量 | 4 | 強力粉 | 適量 | 5 | レタス | 1枚 |
【作り方】