秋を表す節気は「立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降」ですが、9月8日頃はちょうど白露にあたります。連日の猛暑に秋らしさを実感できませんが、草木の葉にきらめく朝露に小さい秋を見つけるとほっとするような、行く夏が名残惜しいような気もします。
夏に思い出される風景のひとつにトウモロコシ畑があります。子供の頃、自分の背丈よりずっと高く、きっぱりと青い空を突き刺すように伸びる光景にただただ圧倒されていました。 そして、夏祭りの屋台に欠かせないのが焼きトウモロコシ。焦げた醤油の香りについつい引き寄せられてしまいます。デートで焼きトウモロコシを食べてはいけないと学んだのは、遠い夏の苦い思い出です。 そのトウモロコシもそろそろ食べ収めです。収穫時期が短く、旬のものは6月から9月頃までしか出回りません。まだ食べていないという方は、今を逃すと来年の夏までお預けとなってしまいますよ。
●美味しいトウモロコシの選び方はヒゲ!?
みなさんは、美味しいトウモロコシをどのようにして見分けていますか。幾重にも皮で包まれたトウモロコシですが、食べ頃を見分けるのはそれほど難しくはありません。 まずは皮の色を見ます。緑色が濃くてツヤのあるものが新鮮です。次にヒゲを見ます。先端のヒゲが濃い茶色のものは、傷んでいるのではなく完熟して甘くなっているサインです。ヒゲの一本一本は粒と繋がっているので、ヒゲが多いほど粒がぎっしり詰まっています。 皮をむいて、先まで実が詰まって粒が大きくツヤツヤしているものが良いとされています。収穫直後からどんどん甘みが落ちますから、買ったらすぐに調理しましょう。
●茹でる、蒸す、レンジ加熱…美味しい加熱方法はどれ?
トウモロコシの加熱方法は一般に蒸す、茹でる、電子レンジ加熱の3通りですが、どの方法が一番美味しいか比べてみました。 トウモロコシは薄皮とヒゲを取り除きます。蒸す場合は、塩ひとつまみを軽くすり込んで沸騰した蒸し器で10分蒸します。茹でる場合は、鍋にたっぷりの湯を沸かし水量の2%の塩とトウモロコシを入れ10分茹でます。電子レンジの場合は、塩ひとつまみを軽くすり込んでラップで包み500Wで5分加熱します。
同時に調理し、粗熱が取れたところで試食してみました。結果は、私が期待したものとは違っていました。 見た目は、いずれも黄色の色が濃くなり美味しそうです。蒸す、茹でる方法は、食感がシャキシャキしていて、口いっぱいに熱いジュースがほとばしりとても美味しく感じました。電子レンジ加熱のものは、食感も良くジューシーで、甘みや味が前の二つより濃く、香りも際立っていました。蒸す、茹でる方法は加熱時に水分を含むためか、レンジ加熱に比べると少し水っぽさがあります。その分、甘みや味が薄くなるのでしょうか。 あくまで、私のやり方での評価ですが、レンジ加熱のほうがより美味しく感じました。
景気よく湯気を上げた茹でたてのトウモロコシをザルに積み、テーブルの真ん中にど〜んと置く。トウモロコシはこういう豪快さが似合います。冷めるまで待てず火傷しそうになりながら熱々を食べるのが我が家の夏の風景でした。 鍋の中でトウモロコシが濃い黄色に茹で上がっていく様や立ち上る湯気と香り。そんな夏の日の台所の風景と流れる時間がごちそうなんだという気がます。レンジは早くて手軽で美味しいけれど、そこには風景がなく、ジリジリと照りつける日差しやセミの鳴き声の思い出も作られないのです。
夫が闘病中、トウモロコシのすり流しやポタージュを作ると、甘くて美味しいととても喜んでくれました。今回ご紹介するレシピは「焼きトウモロコシのすり流し」です。香ばしい醤油の香りと甘みが病みつきになる美味しさです。キリッと冷やして召し上がってください。
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焼きトウモロコシのすり流し
【材料 出来上がり360cc分】
材料名 | 分量 | 1 | 焼きトウモロコシの粒 | 1本分(約160g) | 2 | ご飯 | 40g | 3 | 出汁 | 400cc | 4 | 米味噌 | 大さじ1.5 | 5 | 塩 | 適宜 | 6 | 醤油 | 適量 |
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【作り方】
トウモロコシは皮とヒゲを取り除く。ラップで包み、500wの電子レンジで5分加熱し冷ます。 刷毛で醤油を塗りながら網で焼き、全体に焦げ目をつける。 包丁でトウモロコシの実を削り取り、トッピング用に少し取り置く。 鍋に3、ご飯、出汁を入れ強火にかけ、沸いたら弱火にし約15分煮る。 粗熱が取れたら味噌を加え、なめらかになるまでミキサーにかけ、濾し器でこす。 *出汁や味噌の塩分は、製品によって異なるため分量は加減する。 冷蔵庫で冷やし、塩で調味する。 器に注ぎトウモロコシの粒をトッピングする。