こんにちは。クリコです。
私の子供の頃は、12月に入ると母の陣頭指揮のもと大掃除が始まりました。家中に溜まったホコリを残さぬよう、食器棚やタンスの中と裏側も丹念に拭き掃除をし、加えて障子、襖、畳の張り替え、布団の打ち替えと大忙しでした。 普段は破ると叱られる障子も張り替え前には、この時とばかりに姉と二人で穴だらけにしたのは楽しい思い出です。多くの日本人にとって、年末行事で大切なのは日本独自の文化である大掃除です。大掃除は歳神様をお迎えするための準備ですが、新たな一年の安泰と幸運の願いが込められいます。 私たち姉妹にも掃除の分担があり、通知表の結果が悪かったりすると挽回するために黙々と掃除に励むのですが、子供ながらに心身も一緒に清められ清々しい気持ちになったものでした。
米屋に注文したのし餅と鏡餅が届き、門松を飾り終えるといよいよおせち作りを始めます。数の子や黒豆煮など時間のかかるものから取り掛かります。30数年前の正月三が日はスーパーマーケットや百貨店も休業が普通の時代。おせち料理の準備は欠かせませんでした。 彩りよく重箱を埋めていくおせち料理の豪華さは、子供心に晴れがましく誇らしい気持ちになったものです。最後に母自慢のちらし寿司を作って完成です。
おせちの準備を終えると、大晦日には熱々の海老天蕎麦を食べて静かに年明けを待ちます。 大晦日に年越しそばを食べる風習は、江戸時代中期に定着したと言われています。その由来は「そばのように細く長く生きられるよう」長寿を願う、切れやすい蕎麦を食べて厄を落とすなど諸説あるようです。
新潟県は海藻のふのりをつなぎに使ったふのり蕎麦、福井県は大根おろしをかけた越前そば、北海道や京都はニシンの甘露煮をのせたニシンそば、沖縄はそば粉を使わない沖縄そばなど、麺や具にお国柄出て面白いものです。
おせち料理をつまみながら聴くNHK紅白歌合の村田英雄の「王将」や「人生劇場」は、私にとって格別でした。歌に込められた日本人魂は子供の心にもじ〜んと染み渡りました。
明けて元旦は、下ろし立ての下着をつけ、姉と私は絣の着物と羽織を着せてもらい、父母も着物姿で新年を祝いました。羽子板、独楽回し、すごろく、百人一首、凧揚げなど、遊びには事欠きませんでした。 雲ひとつない青い空にぴんと両腕を広げた奴凧。今の都会ではなかなか見られない光景となりましたが、上空から見下ろす奴は威勢がよく、新しい年の幕開けにふさわしい景色でした。
今年もコラムをお読みいただきありがとうございました。来年も日々の食事の時間が待ち遠しくなるようなレシピをお届けしたいと思います。 皆様の長寿を願って、ひやむぎで作る噛みやすく飲み込みやすい年越しそばのレシピをご紹介します。 どうぞ、良い年越しをお過ごしください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
鶏団子入りにゅうめん
【材料 1人分】
材料名 | 分量 | 1 | 冷麦(乾燥) | 25g | 2 | 麺つゆ(市販を希釈) | 250cc | 3 | 鶏団子の肉だね | 30g *作り方は第2回「シート肉の肉だね」参照 | 4 | 茹でた白菜 | 20g | 5 | 介護食用ゲル化剤「ミキサーゲル」 | 0.1g*介護食用ゲル化剤の特徴は第8回を参照 | 6 | 【とろろ汁】 |
---|---|---|
やまと芋 | 30g | |
だし醤油 | 小さじ1 | |
水 | 25cc | |
7 | 【トッピング】 | |
花麩 | 2枚 | |
飾りにんじん | 2枚 | |
ゆず皮 | 適量 | |
【作り方】
冷麦はたっぷりの湯で30分を目安に、舌でつぶせるやわらかさになるまで茹でる。流水でもみ洗いし水気を切る。 鍋に市販の麺つゆを希釈して煮立てつゆを作る。 やまと芋は皮をむきすりおろし、だし醤油と水を混ぜ器に入れる。*とろろ汁に麺をつけると飲み込みやすくなる。 鶏団子を作る。肉だねを3等分しティースプーンですくい、湧いた湯の火を弱め静かに入れて茹で、水気を切っておく。 やわらかく茹でた白菜を細かく刻み、介護食用ゲル化剤と水小さじ1(分量外)を加えミキサーにかける。2分置いてもう一度攪拌しバラけないように寄せる。 花麩は水に戻し、にんじんはやわらかく茹でて花形に型抜きする。ゆず皮はせん切りにする。 椀に1を盛り2を入れ、4、5、6をのせ、3を添える。