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子宮頸がんは男性には関係ない?
~がん相談ホットラインの現場から~

掲載日:2024年7月5日 13時00分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも、少なくありません。
 日本対がん協会の がん相談ホットラインにはたくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。シリーズ「がん相談ホットラインより」で相談員の思いをお届けしています。

  

 子宮頸がんは女性だけの問題だと思いますか?

 子宮頸がんは女性特有のがんですから、そう思う方が多いかもしれません。

 でも、男性も無関係ではありません。

 「自分のせいでがんになったのでしょうか……。自分もがんになることがあるでしょうか……」

 恐々とした声でホットラインに電話をくださったのは、パートナーが子宮頸がんと診断された男性でした。

 色々と調べていくうちに、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(以下、HPV)への感染が主な原因であることや、感染経路は主に性交渉だとわかり、自分が感染していてうつしてしまったのではないかと思ったそうです。

 さらに、男性もHPVに感染することがあり、陰茎がんや肛門がん、中咽頭がんなどの原因の一つと考えられていることも知り、怖くなったということでした。

 HPVは200種類以上の型があるごくありふれたウイルスで、誰でも感染する可能性があります。このうち、いくつかの型ががんに関係するということがわかっています。ただ、感染しても多くの場合は自然に排除されていくため、HPVに感染したからといって必ずがんになるわけではありません。排除されずに感染の期間が長く続いた場合に異常な細胞に変化し、やがてがんになることがあると考えられています。

 前述した男性のほかにも男性からご相談いただくことがあります。

 「彼女ががんになったのは自分のせいですか」「自分がうつしたかもしれないと思うと彼女に申し訳ない」などと自分を責めて苦しんでいる方だけでなく、「色々考えていたら彼女との関係がギクシャクしてしまった……」と二人の関係にも影響が出て悩んでいるという相談や、「子供を持てますか」と妊娠や出産を心配する声も寄せられます。

 こうしたことを考えていくと、子宮頸がんはやはり、女性だけの問題ではありません。男性にもぜひ、自分事として考えてほしいと思います。

 子宮頸がんの主な原因となるHPVへの感染予防に有効なのがワクチン接種です。日本では2013年4月から公費(無料)による定期接種を始めましたが、ワクチン接種後に多様な症状が報告されたため、厚生労働省が接種の勧奨を控えていました。しかし、安全性や効果などについて専門家の評価を得て2022年4月から積極的な勧奨が再開されました。

 また、陰茎がんや肛門がん、中咽頭がんなどにおいても感染予防に有効だと考えられています。

 大切なパートナーと自分の命や未来を守るために、感染の予防についても一緒に考えてほしいと思います。



― HVPへの感染を防ぐHPVワクチンについて ―

 HPVの感染を防ぐ方法としてHPVワクチンがあります(全てのHPV感染を防げるわけではありません)。ワクチンは3種類あり、そのうちの「9価ワクチン」では、子宮頸がんの原因となるHPVの8~9割を防げます。
 公費(無料)で受けられるのは、小学校6年生から高校1年生相当の女性になります。そして、対象年齢の時に接種の勧奨がストップされていて受けられなかった方(1997年4月2日~2008年4月1日生まれ)を対象に「キャッチアップ接種」として、2025年3月までは無料で受けられるようになっています。
 男性への接種は、「4価ワクチン」のみ承認されていますが、公費負担の対象にはなっていません。厚生労働省の専門家委員会で議論されましたが、今春、見送られました。自費で接種すると約5万円かかりますが、費用を助成する自治体も出てきています。

ワクチンについては下記でも詳しくお伝えしています。
▶ HPVワクチン接種について ~がん相談ホットラインの現場から~


厚生労働省のホームページ


※実際の相談を基に個人を特定できないよう加工しています。



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