こんにちは。クリコです。
夏は暑い、だるい、食欲がわかない、寝苦しいといったネガティブワードが次々と思い浮かびますが、子供の頃は盆踊り、花火、きも試し、お化け屋敷、プール、かき氷、スイカ割りなど楽しいことばかり。子供は風の子太陽の子なのです。
私が通っていた小学校では、毎年夏休みに子供大会が催されました。4年生の時、「スイカ大食い競争」に、はりきって参加した私は見事優勝。この喜びを一刻も早く母に知らせようと走って家に帰り、激戦の模様をまくし立てると予想外の反応が返ってきました。「まるで食べさせてないみたいじゃない」と如何にも恥ずかしそうな母の顔に、みるみるしぼんでいく自分を思い出すと今でも可笑しくなります。
宿場町として栄えた商店街のにぎわい
昭和30年代、近所の商店街は旧川越街道沿いにあり、八百屋、魚屋、肉屋、酒屋、金物屋、布団屋、呉服屋、お茶屋、和菓子屋、洋菓子屋、薬局などが隙間なく連なっていて、今では考えられないほど賑わっていました。 奇抜な着物とカツラに白塗り姿のチンドン屋さんが、商店街の端から端まで練り歩きます。宣伝文句を謳いながら鳴らす鉦や太鼓のチンチンドンドンチンドンドンのリズムに、店の店主も買い物客も活気づきます。 八百屋の二階の木の欄干に寄りかかって道ゆく人を眺めているチンドン屋さんの姿が、どこか物悲しく見えたことを今でもはっきりと思い出すことができます。
「いらっしゃいっ、いらっしゃいっ、スイカが甘くて美味しいよ〜」「奥さん、今日はいいアジが入ってるよ」と、いくつものしゃがれ声が頭上を飛び交います。今が旬の野菜は何か、新鮮な魚の見分けかたなどを、店の人と母のやり取りを聞きながら自然と身につけていった気がします。
さて、今が食べごろのスイカですが、子供の頃に妙な迷信がありました。種を飲み込むとお腹の中でスイカが育って大変なことになるというもので、信じている子供は私だけじゃなかった思います。一粒でも飲んでしまったら大変とばかりに、先の尖ったスプーンで慎重に種を取り除きながら食べるのはなかなか大変でした。
夏の音
スイカは半分、四つ割り、一口大とカット売りが主流の昨今ですが、私が子供の頃は丸ごと売りが当たり前でした。八百屋さんがスイカの表面を叩いて音を聞かせてくれます。ぽんぽんと跳ね返すような音がすると熟している証。 母を手伝いたくて、ビニール紐を編んだネットに入れてもらったスイカを受け取るとずっしりと重く紐が手に食い込みます。結局、両手で抱えて家まで運んだものです。
冷蔵庫が今ほど大きくなかった時代、たらいに水を張ってスイカを冷やします。当時の水道水は今より冷たくて、きゅうりやトマトもこうして冷やしていました。 夕食後、程よく冷えたスイカに包丁を入れると、パキパキと音を立てて割れた隙間に見える真っ赤な果肉に毎回わくわくしました。角盆一杯に並べた三角のスイカ。足元には蚊取り線香を入れる陶器の豚。時々風に撫でられてガラスの風鈴がチリーンチリーンと鳴ります。 クーラーの快適さに味をしめ、窓を締め切った室内で過ごすことに慣れてしまいましたが、風鈴の音色、近所のテレビの音、扇風機の羽が風を切る音、遠くに聞こえる花火の音、盆踊りのお囃子の音….普通にあった夏の音が今は身近にないことに気づき、どこかで何かが間違ってしまったような気がします。
いろいろな夏の音に耳を傾けながら、冷んやりスイカゼリーで涼んでみるのはいかがですか。スイカの果汁でしっかり水分補給をして猛暑の夏を乗り切りましょう。
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スイカのぜリー
【材料 2人分】
材料名 | 分量 | 1 | 【スイカのゼリー】 |
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スイカ(種を除く) | 120g | |
砂糖 | 4g | |
胡椒 | 少々 | |
レモン汁 | 2g | |
グランマニエ(無くても可) | 少々 | |
介護食用ゲル化剤「ミキサーゲル」 | 4g*介護食用ゲル化剤の特徴は第8回を参照 | 2 | 【キウイのゼリー】 |
キウイ(皮を除く) | 60g | |
砂糖 | 3g | |
介護食用ゲル化剤 | 1.2g | 3 | 【トッピング】 |
レモン薄切り、ミントの葉 | 適宜 |
【作り方】
スイカのゼリーを作る。スイカの種を丁寧に取り除き、ざく切りにする。他の材料と共にミキサーにかけ、滑らかになるまで粉砕する。 キウイはざく切りにする。他の材料と共にミキサーにかけ、滑らかになるまで粉砕する。 グラス2個それぞれに1を入れ、ティースプーンの背で表面を平らにならす。2を入れ表面をならす。 好みで、レモンの薄切りとミントの葉を添える。好みで冷蔵庫で冷やす。