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第80回 まだまだある! 新・“教科書”にない入院持ち物リスト @2024年版 (後編)/木口マリの「がんのココロ」

掲載日:2024年8月7日 12時47分


 今回のがんココは、前回に引き続き「新・“教科書”にない入院持ち物リスト @2024年版」! みなさまから寄せられた「入院のときにコレ持って行ってよかった!」というグッズをすべて紹介します(前編で紹介したものを除く)。またまた、経験者だからこそのアイデアが満載です。

 グッズは、以下の8つのカテゴリーに分けてみました。気になるところをチェックしてみてくださいね!
※コメントは一部抜粋しています。
※グッズ例のイラストは、キグチのヘナチョコイラストです。

1:衣類・靴類
2:お風呂・ボディケア・洗濯
3:食べ物・飲み物
4:食に関するグッズ
5:お楽しみ・リフレッシュ
6:家電・電子機器(モバイル等)
7:お役立ちグッズ
8:収納

【1:衣類・靴類】


・羽織るもの:ポンチョ、カーディガン
・足まわり:レッグウォーマー、かかとを踏んでも履ける靴
・その他:ケア帽子、使い捨てできる紙パンツ

 キグチ的に意外だったグッズは「ポンチョ」! 2名がオススメ!と推薦してくれました。

「冬の入院時、点滴棒持ってウロウロは寒いので便利でした。点滴中は上着を羽織れないから。腕の点滴外さずに脱ぎ着できて助かりました。」(Kaari リボンズケアumiさん)

 また、「レッグウォーマー」は夏場のエアコンが寒いときの体温調整に役立ったそう。

「靴下を履く姿勢が術後の体につらかったのでレッグウォーマーをずっとつけてました!」(匿名)

 そこで思い出したことがひとつ。私は冷え性なのに、入院中に足が寒かった記憶がないんです。何でかな?と考えてみたら、いつも市販の「寝るとき用の着圧ソックス」を履いていたのでした。つま先なしで、ひざ上までカバーしていてむくみも軽減。これもオススメリストに加えたい!

【2:お風呂・ボディケア・洗濯】


・洗う:使い慣れたシャンプー、洗顔料、使い捨てのクレンジングタオル、柄の長いボディブラシ
・つける:日焼け止め、基礎化粧品、腰痛対策のぬり薬
・その他:鏡


「特に良かったのは洗顔料。片手で押すとムース状でお花の形状に出てくるものを選びました。点滴で痛めた腕に負荷が少なく、花の形状になるフォームは看護師さんから『それ何?』と声をかけられ自然な会話のきっかけにもなりました。」(匿名)

 持ち物が病院スタッフとのお話のきっかけになった、という方は多いのではないでしょうか。お花の形に出てくる洗顔料は、スタッフのみならず患者さんたちも寄ってきそうです。

 また、「使い捨てのクレンジングタオル」は「手拭きや洗顔後のタオルとして使える。そのまま捨てられるので衛生的。洗濯も不要。」(ふみーたさん)とのこと。みなさん、ホントに面白いものを見つけてきますね!

【3:食べ物・飲み物】


・食べ物:一番好きなおやつ、のど飴、グミ
・飲み物:粉の緑茶、お茶のまとめ買い、2リットルのミネラルウォーター


「主治医の『何か質問ありますか?』の問いに夫の一言。『おやつ持って行っていいですか、どらやきなんですけど・・』『いいですよ(笑)』コロナ渦で家族も付き添えない不安なココロを満たしたのは、大好きなおやつ『どらやき』だったようです。」(リボンズケアumiと仲間たちさん)

義兄はよく入院中にお菓子の写真を送ってきたので、喜びをイラストにして送り返しました(笑)。



 膵臓がんだった私の義兄は、病院のコンビニで買った和菓子ミックスがたいそう気に入り、入院のときは毎回買って喜んでいました。

 楽しみがひとつでもあると、気持ちはだいぶ違います。「一番好きなおやつ」。これはもう、「癒しグッズ」と言えると思います。


 また、「グミ」は、実用的な使い方があるようです。「抗がん剤治療中、口の中が乾いた時に硬い飴だと口内で擦れて口内炎になる事が有ったが、グミだとそんな心配が無かった。」(やっさんさん)


【4:食に関するグッズ】



吸い口のついたカップ、ペットボトルキャップ、ペットボトル用ストローキャップ

 みなさん、「起き上がれないときにどうやって水を飲むか」の対策を考えているようです。私は一般的なプラスチックの吸い飲み(病院で貸してくれた)を使っていましたが、ペットボトルのキャップを付け替えるだけなら飲み物を入れる手間がなくラクに飲めそうです。

 「ペットボトルキャップ」は「先輩患者さんのアドバイスで持参した」(匿名)とのこと。また「ストローキャップ」は「百均で売られている」(ふみーたさん)そうです。


【5:お楽しみ・リフレッシュ】


・楽しみ:手芸用品(刺繍・ビーズ・毛糸・糸など)
・安らぎ:花柄やキレイな柄の手ぬぐい・ハンカチなど


 手芸用品は「時間を使うので没頭できる。」(Nさん)とのこと。手芸でも、絵を描くでも、本を読むでも、好きなことに集中すると、不思議と気持ちが落ち着きます。

また、「キレイな柄の手ぬぐいやハンカチ」は、「台の上にかけたり、花瓶の下に敷いたりと、好きな空間を作るのにも役立ちました。おススメです!」(チビ太郎さん)。

 入院は体を治すためのものですが、日常から離れて自分のための時間を持てる機会でもあります。心地いい空間をつくり、やりたかったことをじっくりやってみる。入院中にそんな時間の過ごし方をしてみるのもいいかもしれません。

【6:家電・電子機器(モバイル等)】


・家電:小型の加湿器、電気ポット、デジタル卓上時計、小さめの懐中電灯、とても小さなライト
・モバイル関連:タブレット、地デジ付きタブレット、コードレスイヤホン、ポータブルテレビ、ポータブルDVDプレーヤー、DVD、デジタルフォトフレーム

 病院は、消灯時間が早いのが常。しかもちゃんとその時間に寝る人が予想以上に多い!!と思ったものです。枕元には個々にライトがありますが、「遅い時間だと周りの人に悪いかな」と気になっていました。

 そんなとき「とても小さなライト」は役に立ちそうです。「クリップ式と首からかけるもの、どちらも便利」(武ひとみさん)とのことですが、首からかけるライトなんてあったんですね(早速検索してイラストにしてみました)! クリップ式も角度が変えられるなど、さまざまな形のものがあるようです。

「デジタルフォトフレーム」は、「子供の小さい頃や旅行、風景写真などに予想以上に励まされ前向きな気持ちになった。看護師さんなどとの会話のきっかけにもなった。」(ミミさん)。

 大好きな人や気持ちのいい風景の写真は、見るだけで癒されます。プリントしたものでも、デジタルとしてでも、ぜひ持っていきたいですね。

【7:お役立ちグッズ】


・グッズ:ホワイトボードとペン、孫の手、アームバンド、耳栓やイヤホン、いびき防止グッズ
・ファブリック:ハーフケット、タオル・バスタオル、クッション/小さいクッション、枕

 なるほど〜と唸ったのは「ホワイトボード」! 「ベッドから離れるとき『売店に行っています。○時○分』など書いて置いていきました」(いっちーさん)。

 忙しい看護師さんを呼び止めて「売店行ってきます」といちいち伝えるのも悪い気がして、毎回だまってササっと売店に行っていたキグチです。次回はホワイトボード持っていきます。百均で手に入るそうです!

「孫の手」はいろいろな使い方ができるそう。「寝たまま電気のスイッチ押せます、テーブル上の物を引き寄せます、ベッド下に落ちた物をかき出します、カーテンの開閉出来ます、痒いとこかけます。」(みふねがんカフェ~いきいき茶論~さん)

 また、ハーフケットやバスタオルは、かけたり拭いたりするだけでなく「丸めてクッション代わりにする」(いも。さん)(匿名)という使い方も。

 ちなみに「枕」は私のオススメ! いつも使っている枕があると、それだけで寝心地は格段によくなるし、何より気持ちが落ち着いたものです。かさばるけど(笑)。

【8:収納】


・大きめのかばん、肩掛けバッグ、エコバッグ、ビニール袋、プラスチックの収納ケース

 なぜバッグ類が「収納」なのか……。それはこんな理由から!

「病院に有料のロッカーしかなく、貴重品入れがありませんでした。病院へ持って行った大き目のかばんが何でも入れられるので役に立ちました。」(匿名)

「肩掛けバッグは、ベッドサイドに結びつけて荷物入れにもなるので便利」(kirieさん)

 また、「プラスチックの収納ケース」は、病室の狭いテーブルの整頓に役立ったそう。「薬袋を立てて収納でき、よく使う細々したものも入れられ、落とさなくてすむ。不要な時はさっとどけられる」(なかさん☆さん)

 これも百均にあるものでいいそうです。入院するなら、まず行くべきは百均で決まり!

 これらのグッズのなかには、病院の規則で持ち込めない物もあるかもしれません。入院のときに確認してみてくださいね。


 初めての入院は不安だし、でも準備はしないといけなくて、心がワサワサと落ち着かなくなってしまうと思います。きっと、これらのグッズを提案してくれたみなさんも、最初はいろんな思いを抱えていたはずです。

 そんな思いや経験が、新たな価値として手渡されていくのはとても意味のあることと感じます。そしてそれらを受けとった人は、自らの経験をプラスしてさらに次の人へと渡していくのでしょう。

 今回の「教科書にない入院持ち物」は、お互いに顔を合わせたこともない人同士が、この記事を介してつながるもの。そんな、空間を超えた人と人のつながりも、素敵だと思うのです。


※医療機関によって持ち込み不可の場合もあります。事前に入院する医療機関にご確認ください。

木口マリ
「がんフォト*がんストーリー」代表 執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。2013年に子宮頸がんが発覚。一時は人工肛門に。現在は、医療系を中心とした取材のほか、ウェブ写真展「がんフォト*がんストーリー」を運営。ブログ「ハッピーな療養生活のススメ」を公開中。
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