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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第36 回 七五三でよみがえる晴れ着の思い出

掲載日:2024年11月1日 15時00分

 こんにちは。クリコです。

 「月はおぼろに東山 霞む夜毎のかがり火に〜」で始まる「祇園小唄」を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。祇園の四季の風景に舞妓さんの恋心を織り交ぜたもので、幼稚園のお遊戯会の演目がこの祇園小唄でした。もちろん、歌詞の意味を知るはずもありませんが、メロディと振り付けが気に入って一生懸命に練習しました。特に、三番の「鴨の河原の水やせて〜」のフレーズと、袂に手を入れて開いたり閉じたりする振り付けが楽しく、練習にも熱が入りました。
 いよいよ発表の日、自信満々で踊っていたのですが、父兄席に母の姿を見つけるや舞台そっちのけで大きく手を振ってしまいました。鬼の形相で私を睨みつけた母の顔が、今も鮮明に蘇ります。笑顔を期待していた私は、慌てて踊りに戻ったものの、ちゃんと踊れたかどうかは憶えていません。この時に着ていた着物は、七五三のために母が揃えてくれたものでした。



今さら聞けない七五三の由来


 11月15日は七五三です。毎年この時期になると、晴れ着に身を包んだ子供の姿を見かけるようになります。この日にお祝いやご祈祷をする理由には、諸説あります。徳川綱吉の長男が病弱で11月に健康祈願した、旧暦11月は陰陽道で縁起の良い月とされていた、旧暦の15日は鬼が出歩かない日「鬼宿日」と考えられていたなどです。いずれにせよ、その愛らしい着物姿には思わず目を細めてしまいます。

 七五三の歴史は平安時代の宮中行事がルーツとなり、江戸時代に神事として定着したと言われています。現代に比べ医学も未発達で子供の生存率が非常に低かった時代に、7歳までは神の子でいつ天に帰っても不思議ではないと考えられていました。それゆえに、子供の健やかな成長を祈願する儀式が行われるようになり、武家から商人へ、そして庶民へと広がっていきました。

 江戸時代は、3歳になるまで髪を剃る風習がありました。数え年3歳になると「髪置きの儀」として、主に女児の頭に糸で作った綿白髪をのせ長寿を願いました。数え年5歳になると男児がはじめて袴を着用する「袴着の儀」が、数え年7歳で女児が子供の着物を卒業し帯を締める「帯解きの儀」が執り行われたということです。
 今頃になって知った七五三の由来ですが、今さら聞けない一般常識かもしれませんね。

一生に1、2回しか経験できない儀式


 まだ幼かった私の興味は、晴れ着よりも千歳飴にありました。細く長く粘り強く生きてほしいという願いを込めて作られた「千歳飴」は、江戸時代に浅草の飴売りが祝い菓子として売り出したのが始まりと言われています。
 おやつの種類が今ほど豊かではなかった子供時代、ドラムスティックのように長い飴は、限られた者しか味わうことができない特別なものでした。紅白2色セットというのも心惹かれました。
 鶴亀や松竹梅など縁起のいい図案が描かれた飴の袋も特別感がありました。得意げにぶら下げているところへ、同じ袋を持った子供とすれ違ったりすると、ちょっと照れくさいような気になったものです。

 祝い膳に母が何を作ってくれたのかは憶えていませんが、私たち姉妹が喜びそうなものを準備してくれたはずです。実は、七五三の料理に決まりはないようです。一生のうちで一、二回しか経験できない儀式ですので、お子さんが好きなもので華やかなお膳にしてあげたいですね。
 第4回で「お粥で手毬ずし」(https://www.gsclub.jp/tips/17776)をご紹介しましたが、今回はより手軽に作れて、パーティー感を演出できる華やかなカップお寿司の作り方をご紹介します。
 ご家族の皆様で祝い膳をお楽しみください。

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 お粥でカップ寿司


 

【材料 1人分】

材料名 分量
1 【すし飯】
ご飯 100g
300cc
出し昆布 2x3cm
小さじ2
ふたつまみ
2 【炒り卵】
1個
マヨネーズ 小さじ1
サラダ油 小さじ1
3 【具】
スモークサーモン、マグロ赤身、カニカマ 各30g
ラディッシュ、レモン、スダチ、ディル、スプラウト 各少々
サラダ油 小さじ1
4 【オーロラソース】
マヨネーズ 大さじ2
練りわさび 小さじ2/3

【作り方】

  1. すし飯を作る。茹でこぼしてさっと洗ったご飯、水、出し昆布を火にかける。沸いたら弱火にし、舌で潰せる柔らかさになるまで20分を目安に煮る。途中、水が足りなければ適宜足す。15分経ったところで出し昆布を取り出す。
  2. 1に酢、砂糖、塩を加え混ぜ、鍋底の筋が4~5秒で消えるくらいになったら火を止め、鍋ごと冷水につけて冷ます。
  3. ラディッシュは薄くスライスし、5分ほど水に浸ける。
  4. 炒り卵を作る。フライパンにサラダ油を入れ弱火にかけ、よく混ぜた卵、マヨネーズを入れる。ヘラで絶えずかき混ぜながら加熱する。
  5. スモークサーモン、マグロ赤身、カニカマ、アボカドをみじん切りにする。カニカマはスダチの絞り汁少々で和える。
  6. オーロラソースの材料を混ぜる。
  7. グラス3個に寿司めしを入れ、表面を平らにならし、具を盛り付ける。
      ・炒り卵、スモークサーモンの順に詰め、レモンの薄切りとディルを添える。
      ・アボカドとマグロ赤身の順に詰め、ラディッシュの薄切りと練りわさびを添える。
      ・アボカドとカニカマの順に詰め、スダチの薄切りとスプラウトを添える。
      食べる時にオーロラソースをかけ、混ぜながらいただく。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ) 自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。 食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。 【Webサイト】 「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」 https://curiko-kaigo-gohan.com/ 【主な著書】 「希望のごはん」(日経 BP社) 「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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