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クリコ流ふわふわ介護ごはん
第37回 大切な人に贈りたい価値あるプレゼント

掲載日:2024年12月2日 12時00分



 こんにちは。クリコです。

 「一ドル八十七セント。それで全部。」は、オー・ヘンリーの短編小説「賢者の贈り物」の書き出しです。いきなりお金の話で、次の展開に興味を掻き立てられ読み進むと、ヒロインのデラが毎日買い物を値切って、それでも手元に残ったお金がたった二ドル足らずというわけで、切羽詰まった貧しい暮らしぶりがうかがえます。
 ストーリーは、貧しい暮らしながらも深く愛し合う若い夫婦がクリスマス・イヴにプレゼントを交換するというものです。

 美しく幻想的にきらめくイルミネーションが街を飾るこの時期、無性に観たくなる映画が「賢者の贈り物」です。この映画は、オー・ヘンリーの短編小説5編を映画化したオムニバス映画「人生模様」に納められています。

 映画の冒頭は小説と違って、愛とユーモアに満ち溢れた朝食のシーンから始まります。お金がなくとも二人がいかに相手を思いやり、豊かな時間を分かち合っているかが充分すぎるほど伝わり、自然と顔がほころんでしまいます。

 実はこの二人、素晴らしい宝物を所有しています。夫ジムの祖父から代々受け継いだ金時計。もう一つはデラの褐色の髪です。
 小説では、時計はソロモン王がヒゲをかきむしって羨むほど素晴らしく、髪は小さな滝のように波打ち、シバの女王の宝石も色褪せるほどの輝きと最上級の表現でその価値をたたえています。

 愛する夫に価値あるクリスマスプレゼントを買うため、意を決したデラは誇るべき髪を20ドルで売ります。そのお金を手に町中を探し回り、上品でシンプルなデザインの純プラチナの時計鎖を手に入れます。

 その夜、変わり果てたデラの姿を見たジムはひどく動揺しますが、すぐに「君への愛は少しも揺るがない」と強く抱きしめ、プレゼントを渡します。それはデラがずっと欲しかった櫛で、宝石で縁取られた亀甲の高価なものでした。
 喜びもつかの間、この櫛を飾る髪はもうないと涙を流すデラですが、すぐに「私の髪はとっても早く伸びるのよ。春にはつけられるわ」と明るく微笑みます。そして、ジムの手のひらに例の鎖をのせます。それを見た彼が、櫛を買うお金を作るために時計を売ったことを告白すると、二人は自分たちがしでかしたことが可笑しくて、お互い大笑してThe Endとなります。

 貧しくとも明るさとユーモアを失わない二人に悲壮感は全くなく、観ている私たちの心もじんわりと温めてくれます。二人がプレゼントを身につけられる日が早く来るよう祈らずにはいられません。

 小説には続きがあって、著者はイエスの誕生を祝った三賢人を引き合いに出し、贈り物をするすべての人の中で、この愚かな二人がもっとも懸命で賢い人たち。最高の賢者で、彼らこそが真の東方の賢者だと結んでいます。
 大事な宝物(物質)を失ったけれども、互いを深く思う気持ちを確かめ合うことができた二人が得たもの、真心こそが真に価値あるもので、それを贈った二人こそが最高の賢者ということなのでしょうか。

 大切な人への価値あるプレゼント。皆さんは何を贈りますか。

 今回はクリスマスにふさわしいレシピ「ミートローフ」の作り方をご紹介します。スペシャルな献立で楽しいクリスマスをお過ごしください。

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 ミートローフ


 

【材料 2~3人分】

材料名 分量
1 豚と鶏のシート肉の肉だね 180g
*作り方は第2回「シート肉の肉だね」参照
*ひき肉の割合:豚ひき肉…50g 鶏ひき肉…20g
2 ドライポルチーニ 8g
*水に戻すと約24gになる
3 少々
4 【詰め物】
カッテージチーズ 40g
削ったパルメザンチーズ 5g
ロースハム 20g
パセリ 5g
ローズマリー 1g
コショウ 少々
5 【ソース】
デミグラスソース(市販) 150g
赤ワイン 120cc
ケチャップ 小さじ2
中濃ソース 小さじ1
オイスターソース 小さじ1/2
砂糖 小さじ1/2
黒胡椒 適量
無塩バター 10g
6 付け合わせのサラダ 適宜

【作り方】

  1. ドライポルチーニはひたひたの水に一晩つけて戻す。水気を絞りみじん切りにする。
  2. 豚と鶏ひき肉で作ったシート肉の肉だねに1と塩少々を加えフードプロセッサーにかけ、なめらかになるまで粉砕する。
  3. 詰め物の材料を粗く刻み、フードプロセッサーで軽く粉砕する。
  4. 容量300mlの耐熱容器の内側に薄くバター(分量外)を塗り、2の半量を入れ表面を平す。
  5. 3をラップに置く。耐熱容器の長辺よりやや短め、厚さ1cmくらいの板状に包み形を整える。
  6. ラップをはずし4の上に置き、残りの肉だねを入れ表面を平しラップをかける。
  7. 蒸気が上がった蒸し器に6を入れ蓋をし中火で8分蒸す。火を止めて3分蒸らす。
  8. 赤ワインを半量に煮詰め、ソースの他の材料を加え一煮立ちする。
  9. フライパンにオリーブ油(分量外)少量を熱し、7の表面に軽く焼き色をつける。
  10. 皿に盛り、付け合わせのサラダを添え、ソースをかけていただく。
クリコ 料理研究家・介護食アドバイザー 本名は保森千枝(やすもりちえ) 自身の介護経験から、加熱しても固くならない手作りの肉・魚介素材を考案。柔らかく、見た目に食欲のわく肉・魚介料理のレシピを多数開発。野菜ピュレを活用した野菜料理は、主食からデザートまでレパートリも豊富。 食べる人だけでなく作る人も一緒に楽しめる、そんな家庭の食卓作りをモットーとしている。 【Webサイト】 「やわらかい・飲み込み安い クリコ流ふわふわ希望ごはん」 https://curiko-kaigo-gohan.com/ 【主な著書】 「希望のごはん」(日経 BP社) 「噛む力が弱った人のおいしい長生きごはん」(講談社)
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