垣添忠生の全国縦断がんサバイバー支援ウォーク 一言ブログ 4月26日
勇気100倍!
「あ、先生だ!」
玄関から入っていくと、女将の弾んだ声が聞こえました。
本当は25日に泊まるはずだった早川旅館さんを、本日26日の朝、ぶらりと訪ねたときのことです。
女将の大屋雅子さんは40代後半。2年前の11月に義母を大腸がんで、3年前の10月に実父をすい臓がんで亡くしています。私に会うことをずっと楽しみにしていたそうです。ところが、手違いで部屋が空いておらず(8部屋の小さな旅館です)、泊まれなかったのです。
雅子さんによると、義母の桂子さんは10代のころから約60年、旅館を引っ張ってきました。骨董品が好きで、館内に伊万里焼のお皿など素敵な品々が飾られています。
桂子さんは両足がパンパンに腫れて、総合病院を訪ねたところ、最初は整形外科、次は心臓内科で異常なし、と診断されました。
その後も具合がよくならず、明るくお出かけ好きな性格だったのに、ふさぎ込んでしまったそうです。そこで地元の心療内科にかかり、血液検査をしたところ、「すぐに大きな病院へ」と助言されて、大腸がんだとわかりました。
それから1カ月ほど。桂子さんはご自宅で静かに旅立たれました。
最初の段階で、すでに腹水がたまっている状態だったのでしょう。しかし、すぐに大腸がんだとわかっていれば、原因不明な体の不調に悩まれることはなかったかもしれません。
がん医療の均てん化(全国どこでも同じ水準の治療が受けられること)が叫ばれて久しいですが、まだ追いつていない現実を目の当たりにしました。
雅子さんは、地元の小学校で発達障害の児童の支援をしていましたが、旅館を継ぐことに。私のことを以前からご存知で、大歓迎してくれたわけです。前日には、雨の中のウォークを心配して国道などを見回ってくださったそうです。
私にとっても貴重な出会いとなりました。
スマホは結局、復活しませんでした。でも、そのおかげでうれしい出来事もありました。
スマホがないと、写真が撮れないし、インスタにも上げられません。信濃川の上を飛ぶツバメたち、小千谷市の錦鯉など絵になる風景を前にしても、ただ見ているだけ。そこで私は、気持ちを切り替えました。
「健康問題でウォークが中止になったわけではない!」
それから、グッと楽になりました。
アシスタントの森田幸子さんが地元のパソコンショップに電話をかけて、デジカメのレンタルをご相談したところ、なんと無料で貸してくれることになりました。しかも、新しいスマホが東京から届くまでの間、ご主人が夕方、私の宿までいらして、代わりに写真を送ってくださるそうです。心より感謝しています。勇気100倍になりました!
曹洞宗の開祖・道元の言葉「放てば手にみてり」を実感しています。
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