垣添忠生の全国縦断がんサバイバー支援ウォーク 一言ブログ 5月31日
今朝は、米沢駅近くの喫茶店で、2人の女性とお会いしました。安藤藤子さん(写真右)と小野寺恭子さんです。
安藤さんは米沢の方です。3年前にご主人を急性心不全で亡くされました。以前、私が読売新聞のコラム「地球を読む」でグリーフケア(近しい人を亡くした人が悲しみから立ち直れるように寄り添い、支援すること)の大切さについて書いた文章をご覧になり、何度かお手紙をいただきました。私も手紙を添えて、拙著『悲しみの中にいる、あなたへの処方箋』をお送りしました。先日もお手紙が届き、ウォークで米沢を通ることをお伝えしたところ、お会いしたいというリクエストをいただいたのです。
小野寺さんは、安藤さんのお知り合いで、仙台からお越しになりました。東京女子医大を出て看護師さんになり、今は老健施設で働いています。10年前に大腸がんを手術され、快復されました。何年か前に当時65歳のご主人が前立腺がんになったとき、「簡単なんだから」と手術を勧めました。ところがご主人は手術を嫌がり、入院前に身辺整理をして、「死ぬかもしれない」とおっしゃっていたそうです。手術は無事に成功したのですが、その晩、急性くも膜下出血で他界されました。
安藤さんが仙台で開かれたグリーフケアのファシリテーター(担い手)養成講座を受けたときに、小野寺さんと出会ったそうです。安藤さんは、養成講座を行った仙台グリーフケア研究会に相談して、今年3月、山形県でも「わかちあいの会」を開きました。医療が届いていない、しかしとても重要な領域でもあります。
おふたりとも、深い自責の念にかられています。安藤さんは、救急車を呼ばずにご自身で病院に連れて行ったこと、別れを告げることもできなかったことが今もつらく、ときおり、涙をふいていました。小野寺さんは、ご主人の反対を押し切って手術を勧めたことに罪悪感を抱いています。
お気持ちはよくわかります。ただ、人の命は、限りあるもので、どんな運命が待っているかは誰にも知りえません。
「自分を責めることはありませんよ。人は、死ぬときは死ぬんですから」
と言って、あちこちで披露しているトレーニングの話をしました。高齢者の1人ぐらしの私が家で死ねるように、腹筋、背筋、スクワット、居合などで体を鍛えている。安藤さん、小野寺さんともに大笑いしていました。
小野寺さんがお持ちの拙著『妻を看取る日』と『巡礼日記』にもサインをさせていただきました。ふと気づけば、おふたりとも、表情がやわらかく、明るくなっています。
米沢発10時37分の山形新幹線で東京へ。途中、昨日のウォークで、1日前の同じ新幹線を撮影した踏切を通ります(山形新幹線は在来線の奥羽本線と同じ線路です)。見逃さないように、窓の外に目を凝らしました。
ニセアカシアが咲き乱れ、新緑まっさかり。ふと目を上げれば美しい山並み。そんな景色の中を、列車は、新幹線とは思えないぐらいゆっくりと進みました。
さて、東京。いよいよお酒の解禁日です。
つまみも大切です。特製の野菜スープを作りました。知る人ぞ知る茅乃舎のだしを少し効かせて、煮立ててから30分ほどとろ火にかけます。皮を付けたままの新じゃが、新たまねぎ、カボチャ、ブロッコリー、トマト。新じゃがは包丁の通りもいいです。米沢のおみやげにいただいた米沢牛のみそ漬け、2月に鳥取県の境港から取り寄せたカレイの干物(10匹ぐらい買ったうちの最後の1匹です)。
そして、高知県の珍しい栗焼酎「ダバダ火振」。以前、高知で泊まったホテルの隣の酒屋で見つけた焼酎で、これも最後の1本です。ロックでいただきました。
「一口口にすると¥&@!?^_^^_^^_^」
と、インスタにアップしました。「¥&@!?^_^^_^^_^」は、言葉にできないほどうまい、という意味。かつて開高健が、カニを食べるエッセイで使っていた表現方法を拝借しました。
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