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6月11日 永遠の課題

掲載日:2018年6月13日 19時11分

垣添忠生の全国縦断がんサバイバー支援ウォーク 一言ブログ 6月11日





 岩手県紫波町の「ラ・フランス温泉館」の方が、東北本線の岩手飯岡駅まで車で送ってくれるというので、お言葉に甘えました。
 午前10時に一緒にウォークをする、テルモ、日本対がん協会岩手県支部(公益財団法人「岩手県対がん協会」)のみなさんと待ち合わせです。ところがそこに、私の剣道・居合道仲間の姫野夫妻の姿が見えるではありませんか。東京からのサプライズです。ご主人は剣道7段、奥様は居合道5段です。

 岩手県立中央病院までの道のりは8キロ。昨日までの20キロ前後のウォークに比べると短距離ですし、午後1時半までに到着すればいいので、ゆとりがあります。雨の中、盛岡に着くと、姫野さんご夫妻のご希望で盛岡名物の冷麺をいただきました。
 病院では、「おでんせ!! 垣添忠生先生」という文字に、わんこそばのゆるキャラ「そばっち」をあしらった横断幕で迎えていただきました。4月に院長に就任されたばかりの宮田剛先生、リレー・フォー・ライフ・ジャパンいわて、患者会の方たちがいらしています。

 交流会では、医師との関係の難しさについて、発言が出ました。
 年輩の男性からは、余命宣告についてです。この方は患者会活動をされていて、不本意な余命をさらりと言われた人の気持ちを3時間、傾聴したそうです。
 大腸がんのサバイバーで、リレー・フォー・ライフにも何度も参加されている男性は「告げ方がある」とおっしゃっていました。その通りです。医師の言い方によって患者さんの受け止め方、響き方が違ってきます。
「これは、永遠の課題です。簡単には答えられません。ただ、告げ方に工夫が必要なことは確かです」
 私も、こう申し上げるのが精いっぱいでした。

 医師の偏在も話題に上りました。
 岩手県内でも、盛岡市といわゆる過疎地域では、格差があります。県の北部ではがんを隠す傾向もあるそうで、そのうえ医師が少ないとなると、たとえ医師と関係が悪くなっても医療機関を替えようがありません。セカンドオピニオンという言葉は浸透しましたが、全国どこでも気軽に受けられる環境は整っていないのです。
 これもまた、簡単には答えが出ません。私も即答できませんでしたが、重要な課題を伺えた意味は大きいと思います。

 岩手県立中央病院を出て、対がん協会岩手県支部の車で岩手医科大学へ。ここの藤岡知昭名誉教授は、泌尿器科医で私の親友です。5月に尿閉に悩まされたときにも貴重なアドバイスをいただきました。藤岡先生、伊藤薫樹・腫瘍センター長はじめ学生さんたち、がん患者・家族サロンのみなさんが迎えてくださいました。

 交流会では、お母様をすい臓がんで看取ったという女性が、「ボランティアで、中学校でご自身の体験を語っている」とおっしゃっていました。生徒さんたちが、熱心に聞いてくれるそうです。すばらしい試みです。私はこう申し上げました。
「がん教育は、医療者だけでは無理です。患者さんやご家族が入らないと回りません」

 オストメイト(人工肛門)の相談を受けているという男性はこんな問いを投げかけました。
「オストメイトの人は全国に20万人ぐらいいると思うけれど、表に出てこない人がたくさんいます。これから手術を受ける人や、術後の人は、経験者の話を聞ければ不安がだいぶ解消すると思います。どうしたら、引き出せるでしょうか」
 たしかに、オストメイトでは、体験者の話が有用でしょう。藤岡先生は、こんなケースで、ご自身が知っている患者さんを紹介したことがあるそうです。

 高齢の女性サバイバーからは「患者会は傷を舐め合うみたいでなじめない」という意見が出されました。お気持ちはわかります。しかし、患者会の役割はもっと幅広いはずです。
「患者会のみなさんには、勉強されて、政策提言ができるくらいになっていただきたいと思います」
 と、これまでのウォークでも折に触れて述べた考えをお話ししました。
 緩和ケア講習会を受講した11人の方と記念撮影もしました。地域に戻れば、大きな力になるでしょう。


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