たくさんの学びや気づきがありました ~ジャパンキャンサーフォーラム2018に参加して~
掲載日:2018年8月22日 15時32分
ジャパンキャンサーフォーラムにブースを出展しました ~スタッフ便り~
8月11日(土)、12日(日)の2日間、「ジャパンキャンサーフォーラム2018」(主催:認定NPO法人キャンサーネットジャパン)が、国立がん研究センタ新研究棟(東京・築地)で開かれました。
今年で5年目になる「ジャパンキャンサーフォーラム2018」では、企業や患者支援団体、患者会など53団体がブースを出展しました。2日間を通して3000名以上の方が来場しました。
日本対がん協会もブースを出展し、がんサバイバー・クラブの活動紹介やリレー・フォー・ライフ、ピンクリボンフェスティバルのご案内などを行いました。
私も当日は、ブースでスタッフとしてご来場の方々とお話しさせていただき、たくさんの学びや気づきをいただきました。
「万が一じゃなく、二分の一」を伝えたい
「あの、CMでやっていらっしゃる団体の方ですか。万が一じゃなく二分の一の……。あれ、いいですよね」
ブースを開いてすぐ40代の女性が声をかけてくださいました。女性は数年前に職場で受けた健康診断で、初期の乳がんが見つかった経験があるそうです。以後定期的に検診を受け、今度は初期の肺がんが見つかったといいます。
ご自身の経験を職場の仲間に話し、がん検診を受けることを勧めても「『私は大丈夫。』と、どうにも伝わっていないというか……」と周囲との温度差をもどかしそうに話してくださいました。
以前と比べ、著名人がテレビでがんを公表するようになったり、一般の方であってもがんの経験をブログやSNSを通して発信する人が増えたりと、がんの情報を目にする機会が多くなっているように思います。そしてその中で、がんは身近な病だと感じる方も増えてきているように感じます。
しかし、そこからもう一歩踏み込んで「自分もがんと診断されるかもしれない」「がん検診に行ってみよう」ともう一歩踏み込んで、具体的な行動を起こすのはなかなか難しいことなのかもしれません。
「万が一がんになったら……なんて、仮定の話ではなくて、生涯のうちに2人に1人ががんと診断される可能性があるということを『二分の一』という言葉で周囲の方にも伝えていきたい」
女性はそのように話してくださいました。
がん検診を定期的に受けることは、がんの早期発見、早期治療、ひいては治癒につながります。そのことをどなたにとってももっと伝わりやすくもっとわかりやすく情報を発信していく必要があるのかもしれないと感じました。
相談したいのは家族です
しばらくすると、60代くらいの男性と女性がブースに立ち寄ってくださいました。「脳腫瘍の相談ができるブースを探しているのですが」とおっしゃったので、脳腫瘍の患者会のブースまで一緒に同行してご案内したのですが、
「こちらではさっきお話を伺いました。」とおっしゃいました。他に脳腫瘍の相談ができるブースは出展していたかなと会場をぐるりと見まわしていると、女性が
「実は、相談したいのは家族の方なんです。脳腫瘍になってから、ちょっとしたことで怒りっぽくなってしまって。サポートする家族も困っていて……」
とおっしゃいました。
すぐに日本対がん協会の「がん相談ホットライン」のリーフレットをお渡ししました。
「看護師や社会福祉士の資格を持つ者が、お電話で患者さんだけでなくご家族の方からのご相談もお受けしています」
このようにご案内すると、少し女性の表情が晴れやかになったように感じました。
家族や大切な人ががんと診断されたとき、その人を思いやることは、ときに自分の痛みや苦しみよりも辛いものなのかもしれません。初めてのことに戸惑い、患者を心配するあまり体調を崩される方もいらっしゃいます。
がんサバイバーだけでなく、家族も一緒にサポートしていけるような活動が必要だと改めて感じました。(文:大石しおり)