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がん患者を支える家族の心得「まず自分自身を大切に」

掲載日:2018年12月11日 13時52分

 がんサバイバーや家族は様々な悩みに直面しています。毎日の生活のこと、仕事のこと、家族のことなど病院の医師や看護師に相談しにくいことも少なくありません。日本対がん協会では2006年より「がん相談ホットライン」を始めました。たくさんの相談が寄せられ、相談員が一人ひとりの思いを受け止めています。新シリーズ「ホットライン便り」でお届けいたします。

がん患者を支える家族の心得「まず自分自身を大切に」

「起きてきたら電話を切ります。それまで話を聴いてください」
 夫の眠った隙をみて電話をかけてきたのは、がんの治療をしている夫を支える奥さんでした。  ご主人ががんと診断されたのは数年前。以来、手術、化学療法と、ずっと続く治療に夫婦二人三脚で向き合ってきたそうです。  病気や治療に関する情報を一緒に探し、入院中は一日も休まず病院に行き、退院して通院治療が始まってからは付き添いを欠かさなかったそうです。
 それだけではありません。少しでも夫のためにと、栄養学の本をたくさん読み、バランスのいい食事を考えて作っています。親戚や近所付き合いもあります。付き合いを大切にしている夫の代わりに、妻として当然のことだと思ってすべて一人で努めてきたといいます。
 時々「疲れたな…」と思うことがあっても、夫は治療を頑張っているのに自分が弱音を吐いてはいけない、もっと頑張らなくてはと思っていたそうです。  気分転換をした方がいいと友人が食事に誘ってくれても、自分だけ楽しい思いをするのは夫に申し訳ないと断り、長年続けていた趣味の習い事も、夫を思うと罪悪感を覚えてしまい続けることができなくなったといいます。
 しかし、闘病生活が長くなり気力も体力も限界に近づき、辛さを抱えきれなくなり受話器をとったそうです。声が小さいので、尋ねると、夫に気付かれないようにと配慮してのことだそうです。弱々しいその声から、疲弊しているのは明らかでした。
 家族ががんになった時、 「自分に出来ることはないか」 「出来ることは何でもしてあげたい」  多くの方がそう思うでしょう。
 そのことに一途になるあまり、自分の生活や、自分の時間を忘れ、「がんになった家族のために」と頑張りすぎることが少なくありません。  その結果、自分が疲れていることにすら気が付いてないことがあります。  患者さんを支えていくには、家族が自分の身体と心にかかる負担を知ることが大切です。そして、頑張りすぎず、自分の時間を持ってリフレッシュすることが重要です。  そうすることが気持ちに余裕をうみ、患者さんを支えていく力に繋がるはずだからです。
 もちろん周囲からサポートを得ること、自分の気持ちを話せる人をつくることも必要ですが、まず、自分自身を大切にすること。忘れがちですがこれはとても大切なことです。
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